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脳神経外科

小児科と連携した小児脳腫瘍に対する治療

小児脳腫瘍は、比較的まれですが、小児がんにおいては白血病についで2番目に多い腫瘍となります。しかし、その治療方針は複雑で、標準的治療が確立されていない腫瘍型が多くあります。特に髄芽腫、上衣腫、胚細胞性腫瘍などは、手術のみではなく、放射線治療や化学療法などの集学的治療が必要となります。また、3歳未満の低年齢の患児に対しては、放射線治療の障害を受けやすいため、化学療法が重要な役割を担うことになります。

我々の施設では、積極的な化学療法が必要な場合は、小児科の小児がんの専門医と連携し、一緒にこれらの腫瘍に対して治療を行っています。腫瘍に応じて末梢血幹細胞輸血による大量化学療法を行うこともあります。治療方針についても小児科および放射線科、脳神経外科で十分検討して行っています。実際の治療は、手術の前後を除けば、小児科病棟で行い、院内学級にも通いながら治療を行うことが可能です。

髄芽腫とは

主に小児の小脳に発生する悪性脳腫瘍です。腫瘍は小脳の正中部(虫部)を中心に発生し、第四脳室および両側小脳半球に浸潤する傾向があります。
症状は脳脊髄液の流れが障害されて水頭症を生じ、早期に強い頭痛や嘔吐、意識障害などで発症することが多いようです。小脳の障害による体幹失調(よく転ぶ)および眼球運動障害も認められます。診断は、頭部CTやMRI検査で、小脳の正中部に比較的境界明瞭な腫瘍が造影剤で均一に強く造影されます。


頭部および脊髄MRI検査


第四脳室を充満する腫瘍を認め、さらに頚髄から胸髄下部まで腫瘍の播種を疑う所見が認められる。



診断に関しては、これまでWHO Classification 2007では、形態学的変化により診断を行ってきました。しかし、WHO Classification 2016では、遺伝子の変異により分類されました。


Acta Neuropathol 123: 465-472 2012


Medulloblastoma subtypes characterized by combined genetic and histological parameters


2016 WHO Classification of Medulloblastomaでは、遺伝子変異により予後が推定されるようになりましたが、髄芽腫に対する一般的な治療は、顕微鏡手術下に腫瘍をできるだけ摘出し、術後に化学療法と放射線治療を行うことです。
化学療法と放射線治療などは、小児科ならび放射線科、脳神経外科で十分検討して行われます。
詳しくは、外来にてご相談ください。
担当:田宮 隆、三宅啓介