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先端医療開発センター

先端医療開発センターでは、基礎研究の成果をもとにトランスレーショナルリサーチを展開して、大学医学部の使命である最先端医療技術の開発を目指します。当センターでは、基礎医学から臨床医学にかけて、さらに臨床医学では内科系領域で特に成人疾患において主要な分野である糖尿病関連領域・がん関連領域、さらに伝統医学領域にかけて幅広く臨床応用の可能な範囲として研究対象としています。そして、その中から現代の地域医療事情に貢献可能と考えられる知見・技術などに関して横断的・集約的な橋渡し研究や、独自の治療方法の開発などに取り組んでおります。

これまでのところ例として、基礎的な研究として糖尿病における膵β細胞の再生、人工膵臓、動脈硬化病巣の退縮治療、遺伝性内分泌疾患における早期診断技術の開発などに取り組みました。具体的には、High density lipoprotein (HDL)は、動脈硬化病変よりコレステロールを引き抜き、肝臓へ転送するシステム(コレステロール逆転送系)を介して抗動脈硬化作用を発揮することが知られています。我々の治療ストラテージは、HDL受容体を肝臓に遺伝子導入することで全身血管に存在する動脈硬化病変からコレステロールを引き抜き、プラークを退縮させることです。

また、近年増加傾向にある「がん」と糖尿病に関連して、遺伝子解析や臨床検査・病理検査検体などの解析を通して、両疾患の病態に関連性を有すると思われる種々の異常に対する解析・解明を次世代シークエンサーなど最新の研究機器を用いて行い、予防や治療に重要と考えられるバイオマーカーの開発やリスク因子の同定などにも取り組んでいます。

臨床的には、医師主導型自主臨床試験にも積極的に取り組んでいます。さらに、伝統医学に関して主に漢方薬の臨床現場でのより科学的な応用・運用を目指し、糖尿病領域や腫瘍疾患領域での治療効果・補助効果・予防効果などについての研究に取り組み、実運用を目指した検討を進めています。
臨床検査領域では,新規糖尿病疾患マーカーの開発と臨床的有用性の検討、動脈硬化症の新規の臨床検査マーカーの開発などに携わっています。さらに、既存の知見や検査技術についても簡便かつより効率的な実施運用を目指した検討・研究を通してより実践的な課題にも取り組んでいます。これらの研究・開発活動を通して我々は、21世紀の夢の最先端医療を実現することを目指しています。


次世代シークエンサーについての図

次世代シークエンサーについて


次世代シークエンサーの導入により、より正確かつ網羅的な遺伝子解析が短時間かつ低コストで実施可能となっております。当センターでも、この様な最新機器を使用して研究を行っています。


研究開発を通して先制医療の実践へについての図

研究開発を通して先制医療の実践へについて


疾病の予防から、治療介入に関して様々な疾病の其々の臨床的ステージにおいて必要とされ得る種々の医療技術の先制的開発を目指して日々研究に取り組んでいます。

イベント・セミナー活動

当センターでは先端医療技術に関連した内用で、これまでに学内の農学部と連携した「医農連携交流セミナー」や、基本的な知識から、応用的なトピックまで幅広く先端医療技術を学ぶ「先端医療技術セミナー」を定期的に開催してきています。学内外からのスタッフ教育や交流活動として医師のみならず多職種の職員・研究員が参加するイベント・セミナー活動です。主に、院内のスタッフを対象としていますが、会場に余裕がある場合は、学生や外部施設からの聴講も可能です。

過去の活動実績

先端医療技術セミナー

第1回 2013年5月30日 次世代シーケンサー取扱説明会
第2回 2013年5月31日 次世代シーケンサー取扱説明会
第3回 2013年9月4日 DNAメチル化解析
第4回 2013年11月14日 次世代シーケンサーMiSeq活用に関する個別相談会
第5回 2013年11月26日 より簡便に安全にiPS細胞を作製する手法に関して
第6回 2014年1月16日 メタボロミクスをはじめよう
第7回 2014年2月21日 リアルタイムPCR~基礎から発現まで~
第8回 2014年5月8日 遺伝子検査をもっと身近に

医農連携交流セミナー

第1回 2012年12月17日 高齢者食(咀嚼嚥下困難者用食品)の理解のためにー食品物性の基礎と実際— 合谷 祥一 先生
第2回 2013年7月12日 抗老化作用をもつカロリー制限模倣物質の探索ー希少糖研究の新たな展開ー 佐藤 正資 先生
第3回 2014年2月5日 糖尿病の糖毒性に関与するリン酸化シグナリング 末吉 紀行 先生

これまでの研究実績

これまでの研究活動実績は、学内外の多くの研究者と協力しつつ積極的な論文投稿や学会発表などを通して広く発信しています。最近の主な論文実績の一部を掲載・紹介します。

発表論文:

Effect of the anti-diabetic drug metformin in hepatocellular carcinoma in vitro and in vivo.
Miyoshi H, Kato K, Iwama H, Maeda E, Sakamoto T, Fujita K, Toyota Y, Tani J, Nomura T, Mimura S, Kobayashi M, Morishita A, Kobara H, Mori H, Yoneyama H, Deguchi A, Himoto T, Kurokohchi K, Okano K, Suzuki Y, Murao K, Masaki T.
Int J Oncol. 2014 Jul;45(1):322-32. doi: 10.3892/ijo.2014.2419. Epub 2014 May 6.

17β-Estradiol regulates scavenger receptor class BI gene expression via protein kinase C in vascular endothelial cells.
Fukata Y, Yu X, Imachi H, Nishiuchi T, Lyu J, Seo K, Takeuchi A, Iwama H, Masugata H, Hoshikawa H, Hosomi N, Iwasaki Y, Murao K.
Endocrine. 2013 Dec 18. [Epub ahead of print]

Metformin suppresses expression of the selenoprotein P gene via an AMP-activated kinase (AMPK)/FoxO3a pathway in H4IIEC3 hepatocytes.
Takayama H, Misu H, Iwama H, Chikamoto K, Saito Y, Murao K, Teraguchi A, Lan F, Kikuchi A, Saito R, Tajima N, Shirasaki T, Matsugo S, Miyamoto K, Kaneko S, Takamura T.
J Biol Chem. 2014 Jan 3;289(1):335-45. doi: 10.1074/jbc.M113.479386. Epub 2013 Nov 20.

Synergistic effect between Juzen-taiho-to, a Japanese traditional herbal medicine, and gemcitabine single-agent chemotherapy for advanced biliary tract cancer.
Nishiuchi T, Okutani Y, Yamagishi Y, Fujita T, Imataki O, Ohnishi H, Matsunaga T, Shimizu T, Shimizu H.
J Altern Complement Med. 2013 Jun;19(6):593-7. doi: 10.1089/acm.2012.0177. Epub 2012 Dec 5.

Liver X receptor α is involved in the transcriptional regulation of the 6-phosphofructo-2-kinase/fructose-2,6-bisphosphatase gene.
Zhao LF, Iwasaki Y, Nishiyama M, Taguchi T, Tsugita M, Okazaki M, Nakayama S, Kambayashi M, Fujimoto S, Hashimoto K, Murao K, Terada Y.
Diabetes. 2012 May;61(5):1062-71. doi: 10.2337/db11-1255. Epub 2012 Mar 13.