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周産期科女性診療科

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診療内容

産科医療功労者の厚生労働大臣表彰を受ける

香川大学医学部附属病院が産科医療功労者として、2010年2月15日、厚生労働大臣表彰を受けました。香川県における長年の周産期医療に対する実績と貢献が評価されたものとスタッフ一同大変喜んでおり、今後一層努力してゆきたいと考えています。なお、全国の大学附属病院では唯一本院が表彰を受けています。

新生児へモクロマトーシスの胎児治療に日本で初めて成功

新生児ヘモクロマトーシスは、胎児期に肝臓を中心としたいくつかの臓器に鉄が蓄積する病気です。明らかな原因は証明されていませんが、お母さんのお腹にいる間(胎児期)に臓器障害が進行し、重症例では出生時に重篤な肝硬変や腎機能障害の状態となってしまいます。そのため、出生後の早期に肝不全・腎不全をきたし、救命が極めて困難な疾患とされています。日本では、21例の報告がありますが、救命できたのは軽症であった1例のみでした。
この病気は遺伝的な背景がないにもかかわらず、兄弟の発症が多いと言われ、特に次回以降の子供に極めて高い発症率をきたすことから、妊娠中の母児間の免疫的な原因が考えられています。つまり、妊娠中に何らかの因子(ある種の免疫グロブリン)が、母親から胎盤を介して赤ちゃんに移行することで、赤ちゃんの臓器に悪さをするのであろうと考えられています。この予測のもとに妊娠中期以降に大量の免疫グロブリンを毎週点滴する治療(高容量ガンマグロブリン療法)がWhitingtonらにより行われ、非常に良好な成果が報告されています。1,2
香川大学医学部附属病院では、2回新生児ヘモクロトーシスを反復した症例を経験し、3回目の妊娠となる今回、平成21年2月から高容量免疫グロブリン療法を実施しました。その結果、妊娠は順調に経過し、平成21年6月無事に満期で男児を出産することができました。赤ちゃんは、肝機能を含めて大きな異常は認められず、健常児と考えられました。出生後も良好に経過し、7月初旬に、お母さんとともに退院されました。その後、全身状態・発育ともに正常に経過しています。
1. Whitington PF, Hibbard. Lancet 2004;364:1690-1698.
2. Whitington PF, Kelly S. Pediatrics 2008;121:e1615-e1621.

総合周産期母子医療センターとしてすべてのハイリスク妊娠の周産期管理・分娩を行っています。

周産期科女性診療科の分娩数は年々増加しています。(臨床統計)

最新の3次元4次元超音波診断装置を駆使した胎児発育の評価、胎児診断を行っています。


3次元4次元超音波診断装置を駆使した胎児発育の評価、胎児診断

子宮を摘出しない方法で子宮頸がんの治療をいたします。子宮頸がんの発生にかかわるウイルスを検査をいたします。

子宮頸がんは初期であれば子宮を摘出しないで治すことができます。(グラフ1)
初期の子宮頸がんは30歳代がもっとも多く、40歳代、20歳代とで約8割を占めます。(グラフ2)
結婚前や出産前の女性でも安心して治療をうけられます。
子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)が関わっています。
子宮を摘出せずに治療を行う場合、ウイルスの検査を行い、治療後にウイルスが消失していることを確認します。
前がん状態では100%、初期がんでは92%にウイルスDNAがみられます。(グラフ3)
その約8割が消失しています。

子宮体がんは閉経前後の女性に多く、最近増加しています。

子宮体がんの3人に2人は閉経前後の女性です。(グラフ4)
子宮体がんはこの5年間で増加傾向です。(グラフ5)

抗がん剤を使った外来治療を行っています。

卵巣がんのほとんどは手術後に抗がん剤を使って治療が必要です。(グラフ6)
子宮頸がん、子宮体がんの一部のひとも手術後に抗がん剤を使って治療が必要です。
これまでは、化学療法は入院で行われるのが一般的でした。平成16年3月に香川県の承認を得て、4月から外来化学療法室が整備・運用されたことで、通院で抗がん剤を使った治療が安全にできるようになりました。(グラフ7)
また、卵巣がんは婦人科がんの中でもっとも予後不良の疾患で、とくに明細胞腺がんの予後は不良です。当科では独自の化学療法を開発し、これまでの治療法に比べ、その治療成績を向上することができました。(グラフ8)

対応疾患

不妊症・不育症
婦人科領域の感染症:外陰、膣、子宮、卵管、卵巣、骨盤腹膜の炎症
婦人科領域の腫瘍:外陰、膣、子宮、卵管、卵巣、腹膜の腫瘍
婦人科内分泌の異常:月経異常など
思春期・更年期障害
妊娠から分娩にいたる母子管理
などすべての産科疾患および婦人科疾患

データ

周産期科女性診療科臨床統計