トップページ診療科紹介脳神経外科診療内容内分泌内科と連携した間脳下垂体腫瘍に対する治療

脳神経外科

神経内視鏡手術

最近、内視鏡を用いて脳神経外科手術を行うことが多くなってきました。脳神経外科手術に用いる内視鏡を、「神経内視鏡」といい、これによる手術を「神経内視鏡手術」といいます。他の分野の内視鏡と同様に、神経内視鏡にも「硬性鏡」と「軟性鏡」があります。硬性鏡は、おもに下垂体部腫瘍や脳出血の手術に、軟性鏡は水頭症などの脳室内手術に用いられます。



下垂体部腫瘍に対する内視鏡手術

下垂体部腫瘍に対しては、以前より「経蝶形骨洞下垂体部腫瘍摘出術」が行われております。手術顕微鏡を用いて、上口唇の裏の歯茎あたりを切開して鼻の奥に到達する方法が一般的ですが、切開する部分から鼻腔にかけての粘膜や骨・軟骨等への侵襲が懸念されます。  最近、神経内視鏡手術が発達してきており、下垂体部腫瘍にも適用されるようになりました(内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術)。内視鏡(硬性鏡)を直接鼻孔から挿入して下垂体部の手術を行うので、鼻腔粘膜や骨・軟骨への侵襲が少なく、術後の痛みやしびれも軽減されます。さらに、顕微鏡と比較して術野が明るく、みえる範囲も広いなど、多くの利点があります。しかしながら、従来の顕微鏡手術にも内視鏡と比較して繊細な操作が可能などの利点がありますので、それぞれの患者さまの状況に応じて、手術方法を選択します。



水頭症に対する内視鏡手術

水頭症とは
頭蓋内には、「脳脊髄液」という水が循環しており、脳は脳脊髄液の中に浮いているような状態となっています。また、脳の中には脳脊髄液が循環している部屋があり、これを脳室と呼びます。  この脳脊髄液の循環が何らかの原因により障害されると、脳脊髄液が頭蓋内に貯留し、脳室が拡大します。これを、「水頭症」といいます。水頭症が進行すると、頭痛、嘔吐、複視、意識障害などの症状が出現します。
治療
一般的には「脳室腹腔シャント術」を行います。脳室にチューブを挿入し、皮下を通して頭部→頚部→胸部→腹部まで導き、腹腔内にチューブを挿入します。これによって、頭蓋内に貯留した脳脊髄液が、チューブを伝って腹腔内に入って吸収されるため、水頭症が改善します。効果的で良い方法なのですが、チューブという異物を体内に永久的に留置するため、感染やチューブの閉塞がおこることがある、脳脊髄液の流量の調節が難しいことがある、MRIを撮影する度に設定を確認する必要がある、等の問題があります。  水頭症の中には、チューブを挿入せずに、頭蓋内で脳脊髄液の通り道を作成する手術である「第三脳室底開窓術」が有効なものがあります。脳脊髄液の循環している部屋の一部に、内視鏡を用いて孔をあけることで、脳脊髄液の循環を改善します。チューブを永久的に留置する必要がないので、感染の心配がありません。チューブを留置するよりも脳脊髄液の循環がより自然に近く、MRIも通常通り撮影が可能です。しかしながら、すべての水頭症に対して有効な方法ではありませんので、担当医とよく相談する必要があります。



内視鏡を用いた脳出血除去術

脳出血に対して手術を行う場合、顕微鏡を使用して開頭により血腫を除去する方法(開頭血腫除去術)や、細い針を挿入して血腫を吸引する方法(定位的血腫吸引除去術)などがあります。開頭血腫除去術は、頭皮や骨を大きく切開し、脳を広く露出するため、手術侵襲が大きいのが欠点です。血腫吸引除去術は、小さな孔を頭蓋骨に開けて行うため侵襲は少ないですが、盲目的に血腫を吸引するため、思わぬ出血がおこったり、止血が困難という欠点があります。  
内視鏡(硬性鏡)を用いて血腫を除去する方法は、開頭術に比べると侵襲は少なく、また内視鏡で確認しながら血腫を除去しますので、ある程度の手術操作や止血が可能です。



神経内視鏡支援による顕微鏡手術

脳神経外科では様々な手術を顕微鏡下に行いますが、顕微鏡では確認が困難な場合があります。その際に、内視鏡(硬性鏡)が非常に有用なことがあります。
硬性鏡には、0°、30°、70°といった角度が付けられており、これらを利用することで、顕微鏡手術では死角になる部分の観察が可能です。内視鏡を用いることで、顕微鏡手術をより安全確実に行うことができます。



香川大学脳神経外科における神経内視鏡手術件数