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放射線部

放射線治療

●放射線治療とは?

 がんの3大療法は、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤)ですが、それぞれに特徴があります。放射線治療は手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所療法です。放射線の細胞分裂を止める効果により腫瘍を縮小・消失することが可能で、手術とは異なり臓器を摘出せず機能を温存したまま治療を行うことができ、生活の質(QOL)の低下を少なくすることができる“やさしい治療”法です。放射線治療には体外から放射線を照射したり、体内の病巣付近に放射性同位元素を入れて照射したりします。それぞれ専用の装置、機器が必要となり当院でも様々な装置が導入されています。

●放射線治療部門 

 放射線治療部門では、放射線治療科医師5名、診療放射線技師7名、看護師2名、事務職員2名が診療を担当し、毎年400名前後の患者さんの放射線治療を行っています。

●装置とその適応について

●直線加速器(リニアック)

 放射線治療の大部分は直線加速器(リニアック)から発生する高エネルギーのX線や電子線を用いて治療を行います。最近は治療装置や3次元治療計画装置の性能が向上し、放射線を病巣に多方向から正確に照射できるようになったため、腫瘍周囲の正常組織への線量を減らすことが可能になってきました。
 放射線部には外部放射線治療装置として2台のVarian社製リニアック[TrueBeam(4,6,8,10MV、6,10MV FFF)、CLINAC(4,10MV)]が設置され、病巣の深さに適したエネルギーを利用して放射線治療を行うことが可能となっています。3次元治療から定位照射及びIMRT、IGRT等の最新技術までの放射線治療に対応可能です。2022年に新治療棟が完成し、併せて導入したTrueBeamではより高精度な治療を行えるようになりました。照射方法によっては従来型のリニアックと比較して照射時間を最大で1/10程度まで短縮することも可能になりました。またBrain Lab社製のExactrac Dynamicが導入され体表面の熱分布を利用した位置照合も行えるようになりました。


●子宮頚癌や食道がんに対する高線量率腔内照射のための密封小線源治療装置

 直径0.9mmのステンレスカプセルに封入された密封放射性同位元素 192Ir (370Gbq)を腔内や組織内にあらかじめ挿入されたアプリケータやニードル内に移送し体内から照射を行います。線源の停留時間によって理想的な線量分布を作成することが可能です。



●前立腺癌の永久挿入療法のための前立腺癌組織内照射用125I刺入装置

 数ミリの125I小線源50~80本程度を、会陰部から前立腺に埋め込みます。3~4日程度の入院が必要になりますが外照射法に比べて、周辺の臓器への照射量を抑えることができるため、排尿障害などの合併症が少ないことが利点となります。




●3次元治療計画装置[Eclipse]

 放射線の分布をがん組織に多く照射し、周囲の正常組織にはできるだけ少なくなるような線量分布を作製するのが3次元治療計画装置です。外照射を始める前にCT撮影を行い人体の断面の情報を取得します。各断面における腫瘍部分、正常臓器などを関心領域として分類し、腫瘍部分に十分な放射線が照射され、なおかつ正常組織の線量は最低限になるような照射方向、照射野、線量割合などを設定する装置です。人体に照射する放射線の量を視覚的&数値的に評価することができます。