高原二郎特別名誉会員のご逝去について

香川大学医学部内分泌代謝・先端医療・臨床検査医学講座
村尾孝児

高原二郎特別名誉会員が令和4年9月24日(享年86歳)に永眠されました。ここに、謹んで哀悼の意を表します。
高原二郎先生は、昭和37年3月 岡山大学医学部を卒業し、昭和42年4月岡山大学医学部附属病院助手、昭和47年6月―49年6月にアメリカ合衆国ルイジアナ州、チューレン大学へ留学、昭和55年4月に岡山大学医学部附属病院講師、昭和58年4月から香川医科大学医学部助教授、平成3年8月から香川医科大学医学部教授に就任され、平成12年4月からは香川医科大学副学長に就任、平成15年9月に退職、同時に香川医科大学名誉教授となられました。高原二郎先生は香川医科大学在職中に、内科学、特に内分泌代謝学の指導者として教育・研究・臨床に貢献されました。現在香川県で活躍している糖尿病専門医、内分泌代謝専門医の大半は高原二郎先生の徒弟であり、香川県の内分泌代謝学の始祖的な存在であります。研究に関しては、有名な国際学術誌に271篇の英文論文を執筆し、その中にはノーベル医学生理学賞受賞者Dr. SCHALLYと共著の論文も含まれています。代表的な研究論文としては、Dr. SCHALLYと共著で脳下垂体でのプロラクチンの分泌制御機構を明らかにし、教科書に掲載されるような顕著な研究業績があります。その他にも、国際学会で139回の発表、982回の国内学会での発表と極めて多くの研究業績、臨床知見の発表をされています。高原二郎先生は約60年の歳月を医学の発展、医療人の育成、地域医療への貢献に尽したものであり、その功績は誠に顕著であります。これらのたゆまぬご研鑽により、高原二郎先生が令和4年秋の叙勲において、瑞宝小綬章を受賞されました。
これまでの先生のご厚情に深く感謝申し上げ、改めてご冥福をお祈りいたします。


2022年6月29日
井端智裕先生は、肝細胞におけるABCA1の発現が女性ホルモンの代謝中間体である2-Methoxyestradiolによって誘導され、肝細胞内の脂肪含量を低下させることを明らかにし、その成果をNutrients誌” Effects of 2-Methoxyestradiol, a Main Metabolite of Estradiol on Hepatic ABCA1 Expression in HepG2 Cells”に発表され、2022年6月に大学院を修了されました。学位取得おめでとうございます。



Japar先生の研究論文がDiabetology & metabolic syndrome誌に採択されました。Japar先生はマレーシアからの留学生で、Universiti Putra Malaysiaと香川大学との共同研究の成果です。ラマダンの断食中、食後高血糖はイフタール (日没時の断食休憩) の食事後によく見られます。D-アルロースは希少糖であり、食後の血糖値上昇抑制などの健康効果が報告されています。この研究では、ラマダン中に D-アルロースが 2 型糖尿病患者の食後血糖を改善するかどうかを調査しています。10 日間連続して実施されたパイロットの前向き単群研究デザインでした。D-アルロースの摂取は、ラマダン中のイフタール後の 2 型糖尿病患者の食後高血糖を改善する可能性を指摘しています。
論文の採択、おめでとうございます。

論文タイトル:A pilot study on the effect of D-allulose on postprandial glucose levels in patients with type 2 diabetes mellitus during Ramadan fasting
Japar S, Fukunaga K, Kobayashi T, Imachi H, Sato S, Saheki T, Ibata T, Yoshimura T, Soh KL, Ong SL, Muhamed Z, Murao K.
Diabetol Metab Syndr. 2022 Jun 21;14(1):86. doi: 10.1186/s13098-022-00856-3.


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小林先生は、高比重リポタンパク質(HDL)が脂肪細胞におけるアディポネクチンの遺伝子発現に与える影響について研究をされ、その成果をJournal of Molecular Endocrinology 「HDL promotes adiponectin gene expression via the CAMKK/CAMKIV pathway」にて発表され、2022年3月に大学院を修了されました。学位取得おめでとうございます。



井端智裕先生の研究論文がNutrients誌に採択されました。本論文は、肝細胞におけるABCA1の発現が女性ホルモンの代謝中間体である2-Methoxyestradiolによって誘導され、肝細胞内の脂肪含量を低下させることを報告しています。ABCA1は善玉コレステロール(HDL)へのコレステロール供与体である。2-Methoxyestradiolは、細胞内情報伝達系PI3K/Akt/FoxO1経路を活性化して、ABCA1の転写活性を刺激することを世界で初めて明らかにしました。脂肪肝抑制のメカニズムとして注目されます。
論文の採択、おめでとうございます。
論文タイトル:
Effects of 2-Methoxyestradiol, a Main Metabolite of Estradiol on Hepatic ABCA1 Expression in HepG2 Cells.
Ibata T, Lyu J, Imachi H, Fukunaga K, Sato S, Kobayashi T, Saheki T, Yoshimura T, Murao K.Nutrients. 2022 Jan 11;14(2):288. doi: 10.3390/nu14020288.


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