2026年6月2日~6日開催の第22回国際内分泌学会議・第99回日本内分泌学会学術総会に参加してきました。
福長健作先生が口演を、Jiang Wenyi先生とRathana Ly先生がポスター発表をしてきました。
福長先生は希少糖D-Allulose(アルロース)の糖尿病治療食への応用に関する研究成果を発表しました(写真①)。



Jiang先生はPiezo2が膵臓でのインスリン分泌に及ぼす影響についての基礎研究成果を発表しました(写真②)。



Rathana先生はCOVID-19渦中とその後の身体活動量、生活習慣指標と糖尿病指標の関係についての研究成果を発表しました生(写真③)。


国際学会ということで、様々な国の研究者の方と議論することができ、大変刺激となりました。お疲れ様でした!


We attended the 22nd International Congress of Endocrinology and the 99th Annual Congress of the Japan Endocrine Society, held from June 2 to 6, 2026 (ICE2026/JES2026
).
Dr. Fukunaga gave an oral presentation, while Dr. Jiang and Dr. Rathana presented their research as poster presentations.
Dr. Fukunaga presented research findings on the application of the rare sugar D-allulose to diabetic therapeutic diets (Photo 1).
Dr. Jiang presented research findings on the effects of the molecule Piezo2 on insulin secretion in the pancreas (Photo 2).
Dr. Rathana presented research findings on the relationship between physical activity, lifestyle-related indicators, and diabetes-related parameters during and after the COVID-19 pandemic (Photo 3).
As this was an international conference, we had the valuable opportunity to exchange ideas and discuss our research with researchers from various countries. It was a highly stimulating and meaningful experience.
Thank you all for your excellent work!


2024年4月より、当院糖尿病センターでは、肥満症治療を目的とした栄養指導を実施しています。
これまでに93例の患者様に対し、延べ498件の肥満症に対する栄養指導を実施(糖尿病等、他疾患に対する栄養指導件数は含みません)しており、ウゴービ・ゼップバウンドによる薬物療法とあわせて、継続的な食事療法支援を行っています。



今後も患者様一人ひとりの生活背景に寄り添いながら、安全かつ継続可能な肥満症治療に取り組んでまいります。


当院では肥満症外来を行っております。
肥満症とは、肥満により健康障害を認め、医学的に減量が必要と判断される疾患です。肥満症治療薬は、食事・運動療法および栄養指導を2カ月毎に6か月以上継続したうえで適応を判断します。
他院通院中の方も、地域連携を通じて月曜日~金曜日に対応しております。
受診をご希望の方は、かかりつけ医療機関を通じてご相談ください。



寄稿文
留学後30年の節目に
― Daniel Steinberg先生の教室で学んだ研究者としての原点 ―
香川大学医学部附属病院内分泌代謝内科 村尾 孝児


写真:UCSD留学当時の一枚

留学後30年という節目を迎え、1996年に米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego: UCSD)、Daniel Steinberg先生の教室で過ごした日々を、改めて懐かしく思い返している。わずか一年間の留学であったが、その経験は、私の研究者としての姿勢、ものの考え方、そしてその後の研究人生に大きな影響を与えた。
Daniel Steinberg先生は、脂質代謝および動脈硬化研究の分野における世界的な権威であり、酸化LDLが動脈硬化の発症・進展に深く関与するという、いわゆる「酸化LDL説」を提唱し、発展させた研究者として広く知られている。当時の教室では、酸化LDLを認識するscavenger receptorの同定や機能解析が精力的に進められ、脂質代謝、免疫、細胞生物学が交差する刺激的な研究が展開されていた。
私がSteinberg先生の教室に留学を希望してFAXを送ったのは、12月31日のことであった。日本では年末であり、すぐに返事が来るとは思っていなかった。しかし先生はそのFAXを読まれ、直ちに返信をくださった。そこには、私が本気で研究に取り組む覚悟を持っているのであれば、留学を受け入れてもよい、という趣旨の言葉が記されていた。大晦日に世界的な研究者から返事をいただいたことは、私にとって大きな驚きであり、同時に身の引き締まる思いであった。
留学後、私に与えられた研究テーマは、当時まだ不明であった「ヒトHDL受容体の同定」であった。HDLは「善玉コレステロール」として知られていたが、細胞表面でどのように認識され、コレステロールの受け渡しに関わるのかについては、なお多くの不明な点が残されていた。Steinberg先生は、HDLが細胞表面に一過性に結合し、そこを足場としてコレステロールエステルの受け渡しが行われるという、いわゆる“docking receptor”の考え方を持っておられた。
私は、scavenger receptorの一つがHDL受容体の候補となるのではないかという仮説のもと、発現系の確立、HDL結合能の評価、機能解析に取り組んだ。一つひとつの実験には多くの時間と労力を要したが、約一年間このテーマに集中して取り組み、その成果を1997年のJournal of Biological Chemistryに報告することができた。ヒトCLA-1、すなわちげっ歯類SR-BIのヒトホモログがHDL受容体として機能しうることを示したこの研究は、私にとって留学時代の最も大きな成果であり、その後のHDL研究、SR-BI研究への出発点となった。
UCSDでの日々は、決して楽なものではなかった。慣れない異国の地で、英語による議論、厳密な実験、高い研究水準に向き合う毎日であった。しかし同時に、研究に没頭できる環境に身を置けたことは、大きな喜びでもあった。朝から夜まで実験を続け、時には休日にも研究室に出て細胞培養を行った。
今でも忘れられない出来事がある。ある日曜日、私はいつものように一人で研究室に出て、クリーンベンチの前で細胞培養の実験を続けていた。休日の研究室は静まり返っており、培地を替え、細胞の状態を確認しながら、黙々と作業をしていた。
ふと背後に人の気配を感じて振り向くと、そこにはSteinberg先生が立っておられた。先生は穏やかに微笑みながら、私に「君の実験を邪魔したくはありません。そのまま実験を続けなさい。たゆまぬ努力を重ねる研究者を、私は自分の研究の仲間として認めます」という趣旨のことを話された。正確な言葉は、年月とともに少し曖昧になっているかもしれない。しかし、その時に先生が伝えようとされた思いは、今も鮮明に覚えている。
Steinberg先生は、単に実験結果だけではなく、研究に向き合う姿勢、日々の努力、そして誰も見ていないところでどれだけ真摯に実験を続けているかを見ておられたのだと思う。その言葉を聞いた時、努力は必ず誰かが見ていてくれる、努力は報われるのだと、深く励まされた。
もう一つ、強く心に残っている指導がある。ある時、Steinberg先生から求められた実験を行い、予想通りの結果が得られた。私は期待された結果がきれいに出たことに満足し、早速先生に報告した。すると先生は、穏やかに、しかし非常に重要なことを話された。
「予想された結果が得られたことは、もちろん良いことです。しかし、それは予想された結果です。私が本当に興味を持つのは、予想されなかった結果です。予想と異なる結果が出た時に、なぜそうなったのかを考え、自分の仮説を修正し、時には変更する。その過程こそが研究で最も重要なのです。」
この言葉は、私にとって大きな衝撃であった。それまで私は、良い実験結果とは仮説を支持する明瞭な結果であると考えていた。しかしSteinberg先生は、結果そのものよりも、仮説を立てる力、そして結果に応じて仮説を柔軟に修正する知的誠実さこそが重要であると教えてくださった。研究とは、あらかじめ用意された答えを確認する作業ではなく、自然が示す予想外の事実に向き合い、自分の考えを鍛え直していく営みである。そのことを、私は先生から学んだ。
Steinberg先生の日常にも、研究者としての厳しさが表れていた。私の記憶では、先生が大学を休まれたのはクリスマスの一日だけであった。世界的な業績を築かれた後も、研究への情熱は衰えることがなく、毎日のように教室に来られ、若い研究者と議論を重ねておられた。その姿は、研究者にとって最も大切なものは名声ではなく、問い続ける姿勢であることを物語っていた。
帰国後も、私はUCSDで与えられたテーマを、自分自身の研究の柱の一つとして継続した。HDL受容体、特にSR-BI/CLA-1に関する研究は、留学中の研究課題にとどまらず、その後の研究人生を通じて追究すべき重要なテーマとなった。HDLコレステロール値の高低だけではなく、HDLが細胞とどのように相互作用し、コレステロール代謝や内分泌代謝にどのように関わるのかを明らかにすることが、私の大きな関心となった。
その後、HDL受容体に関する研究を続け、2008年には日本内分泌学会より第28回研究奨励賞「HDL受容体SR-BI/CLA-1の同定および臨床的機能解析」を受賞することができた。四国から同賞を受賞した個人としては初めてであり、私にとって大変光栄な出来事であった。この受賞は、もちろん私一人の力によるものではなく、共同研究者、教室の仲間、そして多くの先生方のご指導とご支援によるものである。しかし、その出発点に、1996年にUCSDでSteinberg先生から与えられたヒトHDL受容体同定というテーマがあったことは間違いない。
1996年の留学から30年が過ぎた今も、私は研究の節目節目で、Steinberg先生の言葉を思い出す。予想通りの結果に満足するだけでなく、本当に新しいことを示しているのかと自問する。予想外の結果が得られた時には、失敗と考えるのではなく、そこに新しい仮説の入口があるのではないかと考える。この研究姿勢は、私自身のHDL受容体研究、内分泌代謝研究、さらには現在取り組んでいる希少糖研究にも深く影響している。
留学後30年の節目に、改めて当時を振り返ると、Daniel Steinberg先生の教室で過ごした一年は、私にとって研究者としての原点の一つであった。世界の第一線で研究するとはどういうことか、仮説を持って実験するとはどういうことか、予想外の結果に真摯に向き合うとはどういうことか、そして地道な努力を積み重ねることの意味とは何か。それらを身をもって学んだ時間であった。
30年を経た今、Steinberg先生からいただいた最も大きな贈り物は、一つの研究テーマでも、一編の論文でもなかったと思う。それは、研究者として問い続ける姿勢であり、仮説を磨き続ける精神であり、そして努力を継続する者を研究の仲間として認めるという、温かくも厳しいまなざしであった。あの一年間の経験があったからこそ、私はその後も研究を続けることができたのだと思う。Daniel Steinberg先生のもとで学ぶ機会を得たことに、今も深く感謝している。

参考文献
1) Steinberg D, Parthasarathy S, Carew TE, Khoo JC, Witztum JL. Beyond cholesterol. Modifications of low-density lipoprotein that increase its atherogenicity. N Engl J Med. 1989;320:915-924.
2) Steinberg D. A docking receptor for HDL cholesterol esters. Science. 1996;271:460-461.
3) Murao K, Terpstra V, Green SR, Kondratenko N, Steinberg D, Quehenberger O. Characterization of CLA-1, a human homologue of rodent scavenger receptor BI, as a receptor for high density lipoprotein and apoptotic thymocytes. J Biol Chem. 1997;272:17551-17557.


2026年度 日本内分泌学会四国支部 市民公開講座のお知らせ
日 時:2026年8月9日 13時30分~15時50分
場 所:ハイスタッフホール 会議室1 (香川県観音寺市観音寺町甲1186-2)
参加費:無料
先 着:50名
*事前申込が必要です。詳細は、PDFをご覧下さい。


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