がん登録部門
がん登録とは
がん患者について、診断、治療およびその後の転帰に関する情報を収集し、保管、整理、解析する仕組みです。
がん登録の目的
がんの発生状況・がん医療の実態を把握し、がん研究の推進、がん予防の推進、がん医療の向上に対する資料を整理することで、がんの罹患率・死亡率の激減を目的としています。
3種類のがん登録
- 院内がん登録
- 地域がん登録
- 臓器別がん登録
院内がん登録 (施設単位) |
地域がん登録 (県単位) |
臓器別がん登録 (臓器単位) |
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目的 | 施設のがん診療評価 | 地域のがん実態把握 | 全国のがんの詳細情報の収集 |
実施主体 | 医療機関 | 都道府県(市) | 学会・研究会 |
登録対象 | 当該施設の全がん患者 | 対象地域の全がん罹患例 | 専門病院のがん患者 |
収集項目 | 診断、初回治療、生死情報: 必須・標準60項目(2006年修正版) |
診断、初回治療、生死情報: 標準25項目(2004年) |
臓器により異なるが、項目数は多い (200〜300項目) |
現状 | がん診療拠点病院では実施が指定要件 | 35都道府1市にて実施 | 10〜20臓器が助成金研究班に参加 |
院内がん登録とは
当該施設でがんの診断や治療を受けた全患者の腫瘍を対象にがんの診断、治療、予後に 関する情報を集約し、整理・保管、集計・解析、報告、公表します。
役割
- がん患者の受療状況の把握
- 院内がん患者の生存率の計測
- 病院の対がん医療活動の企画、評価のための資料提供
- 診療活動の支援、研修、教育のための資料提供
- 臨床疫学研究の支援
- 院内がん患者の継続受診支援
- 地域がん登録への届出
院内がん登録室での流れ
統計
地域がん登録とは
特定の地域(通常は都道府県単位)を対象にその地域のがん診療施設から協力を得て、が
んの診断・治療を受けた全てのがん患者の診療情報を収集・整理します。
その地域の人口動態死亡統計から死亡情報を得て、届出漏れ患者の補完登録・患者予後の把握に努めます。
役割
- がんの罹患数・率:がんの一次予防(発生予防)の指標
- 診断時の病巣の拡がり(進行度):がんの二次予防(早期発見)の指標
- がん患者の受療状況(診断、治療、検診の役割等)
- がん患者の生存率:がん医療の指標(治療方法の進歩と普及度の指標)
目標
- DCN、DCOを低下させる
- 罹患/死亡比を高める
- Follow-back (死亡診断書発行の病院に問い合わせ)などで罹患状況を把握
登録精度の指標:DCO, DCN, I/D比
- 罹患者中、死亡情報のみで登録された患者をDeath Certificate Only, DCOといいます。また、罹患者中、死亡情報で初めて登録室が把握した患者をDeath Certificate Notification, DCNといいます。
- 一定期間におけるがん罹患数とがん死亡数との比を罹患死亡比、I / D比といいます。これは、生存率が低い場合、あるいは、届出が不十分な場合に低くなります。一方、生存率が高い場合、あるいは、患者同定過程に問題があり、1人の患者を誤って重複登録している場合に高くなります。
地域がん登録における機密保持
2005年4月から全面施行された個人情報保護法をうけて、地域がん登録全国協議会から「地域がん登録における機密保持に関するガイドライン」が平成17年9月に刊行されています。