Lyu先生の研究論文がCurrent Issues in Molecular Biology誌に採択されました。
グルカゴン様ペプチド 1 受容体アゴニスト (GLP-1RA) は、内皮機能を保護することが臨床的に証明されています。我々は以前に、内皮NOシンターゼ(eNOS)が、ヒトHDL受容体(hSR-BI / CLA- 1)によって活性化されることを報告しています。私たちの結果は、GLP-1RがHUVECで発現され、exendin-4がHDL誘導eNOS活性化を大幅に強化したことを確認しました。次に、exendin-4 は hSR-BI/CLA-1 の発現を増加させ、GLP-1R の遮断はこの効果をキャンセルしました。さらに、hSR-BI/CLA-1 転写活性は exendin-4 によって増強され、これは AMPK またはドミナント ネガティブ AMPK-α サブユニットの阻害によって減少しました。さらに、AMPK は GLP-1R の活性化によってリン酸化されました。FoxO1結合の突然変異またはFoxO1のサイレンシングは、hSR-BI/CLA-1発現に対するexendin-4の効果をキャンセルした。 Exendin-4 は FoxO1 のリン酸化を減少させ、その核への蓄積を誘導しましたが、この効果は GLP-1R の遮断または AMPK 経路の阻害によって変化しました。要約すると、我々の結果は、GLP-1 が AMPK/FoxO1 経路を介して hSR-BI/CLA-1 発現を増加させて eNOS を活性化し、内皮機能に対する GLP-1RA の保護効果を強調する基本的なメカニズムを提供することを証明しました。


論文タイトル:Exendin-4 Increases Scavenger Receptor Class BI Expression via Activation of AMPK/FoxO1 in Human Vascular Endothelial Cells
Lyu J, Imachi H, Fukunaga K, Sato S, Kobayashi T, Saheki T, Japar S, Iwama H, Matsumura Y, Ozaki M, Yoshimura T, Murao K.
Curr. Issues Mol. Biol. 2022, 44(11), 5474-5484


2022年11月7日
以前から香川県は糖尿病の受療率が全国的にみても上位を推移しています。県民の関心の高い糖尿病について、発症する原因や治療法について、また、健康な人でも今後 糖尿病を含めた生活習慣病にならないようにするために日常で気をつけたほうが良いことについてなど、分かりやすくお話をさせて頂きました。


近年、生活習慣の変化で糖尿病患者の激増が危惧されています。香川県の調査では、児童における肥満 傾向の割合が男子・女子とも微増しており、耐糖能異常、脂質異常、脂肪肝リスクなど、将来的に生活習 慣病の原因となる項目についても増加傾向にあります。

加えて、近年のコロナ禍において児童生徒の身体活動が、コロナ禍以前に比べて明らかに減少傾向とな っています。これらの状況から、自宅で過ごす時間や日常生活習慣、学校外での生活習慣の教育は非常に 重要であると考えられます。

これらを踏まえ、小児生活習慣病予防健診として血液検査を受けた4年生児童を対象に、体の仕組みや 生活習慣の大切さについて興味をもってもらうきっかけとなればと考え、世界糖尿病デーである 11 月 14 日(月)に下記企画を実施予定です。


ファイルイメージ

最近、健康診断で血糖値の上昇を指摘されることがよくあります。小林先生は、血糖値が上昇する糖尿病について分かりやすく説明し、血糖値測定の重要性及び最先端の血糖値測定機器の紹介と解説をされました。
令和4年10月28日(金曜日)


高原二郎特別名誉会員のご逝去について

香川大学医学部内分泌代謝・先端医療・臨床検査医学講座
村尾孝児

高原二郎特別名誉会員が令和4年9月24日(享年86歳)に永眠されました。ここに、謹んで哀悼の意を表します。
高原二郎先生は、昭和37年3月 岡山大学医学部を卒業し、昭和42年4月岡山大学医学部附属病院助手、昭和47年6月―49年6月にアメリカ合衆国ルイジアナ州、チューレン大学へ留学、昭和55年4月に岡山大学医学部附属病院講師、昭和58年4月から香川医科大学医学部助教授、平成3年8月から香川医科大学医学部教授に就任され、平成12年4月からは香川医科大学副学長に就任、平成15年9月に退職、同時に香川医科大学名誉教授となられました。高原二郎先生は香川医科大学在職中に、内科学、特に内分泌代謝学の指導者として教育・研究・臨床に貢献されました。現在香川県で活躍している糖尿病専門医、内分泌代謝専門医の大半は高原二郎先生の徒弟であり、香川県の内分泌代謝学の始祖的な存在であります。研究に関しては、有名な国際学術誌に271篇の英文論文を執筆し、その中にはノーベル医学生理学賞受賞者Dr. SCHALLYと共著の論文も含まれています。代表的な研究論文としては、Dr. SCHALLYと共著で脳下垂体でのプロラクチンの分泌制御機構を明らかにし、教科書に掲載されるような顕著な研究業績があります。その他にも、国際学会で139回の発表、982回の国内学会での発表と極めて多くの研究業績、臨床知見の発表をされています。高原二郎先生は約60年の歳月を医学の発展、医療人の育成、地域医療への貢献に尽したものであり、その功績は誠に顕著であります。これらのたゆまぬご研鑽により、高原二郎先生が令和4年秋の叙勲において、瑞宝小綬章を受賞されました。
これまでの先生のご厚情に深く感謝申し上げ、改めてご冥福をお祈りいたします。