香川大学医学部小児科

VOICE OF A WORKING DOCTOR

ここは自分の仕事面での成長を促しつつ、
家庭面にも配慮して貰える環境です
ここは自分の仕事面での成長を促しつつ、家庭面にも配慮して貰える環境です

井上公太・依里先生(2022年入局・2021年入局)
森本絢先生(2013年入局)
川口幸穂先生(2021年入局)
何歳のお子さんが何人いらっしゃいますか?
公太:7歳の息子が一人です。小学校生活に馴染めるか心配しましたが、すぐに友達を作れたようです。学童でも他学級他学年の子達と遊んで楽しんでいるようです。
依里:そうですね、息子は、小学校は一人で登下校できる距離ですが、一人で留守番するのはまだ心配なので、学校が終わった後は、校内にある学童保育で18時半まで預かってもらっています。長期休暇も毎日学童です。学童では、クラスとは違う学年の子たちと遊べるので、息子にとっては良い刺激があり、楽しい居場所になっているようです。

川口:わたしはいま3歳の息子がいます。今は保育園に通っていて4月からは幼稚園です。生後3か月から保育園に通っていて、最初は何もわからず保育園に連れていかれていましたが、最近は「行きたくない!」といった主張をするようになりました。いやいや期真っ只中で、ごはんもお風呂もお出かけも「やだ」から入るので、説得が大変です。

森本:9ヶ月の女の子と3歳の女の子の2人です。生後6か月と2歳半くらいの時に渡米しました。今はpre-schoolに長女が、daycare(保育園)に次女が週4日(9-12時)で通っています。それぞれSecond languageとして英語を学ぶ学校に附属しています。3歳の長女は、日本語で先生にがんがん話しかけているようです。いやいやの絶頂期は過ぎたように思いますが、未だにいやいや期を脱出する様子は見受けられません。次女は姉に蹴られて、噛まれて、鍛えられています(笑)
妊娠中はどのようにして働いていましたか?
森本:長女を妊娠した時は、当直業務を外してもらいデスクワーク中心の仕事にしてもらっていました。バイトも縮小しつつ、少し行かせてもらっていました。
次女の妊娠中は、性器出血があったため、途中から週4勤務に減らしてもらったり、バイトは中止してもらったりとかなり配慮してもらいました。それでも個人的な理由で徳島から通っていたため日々の生活で精いっぱいでした。あと、コロナが流行していた時期であり、コロナ対応は皆さんが変わってくれてとても感謝しています

依里:わたしは香川大学に入局する前の初期研修中に妊娠したのですが、悪阻がひどかったので、午後から出勤させてもらったり、数日まとめてお休みさせてもらったりしていました。それでも、病棟で立ちくらみを起こして倒れてしまったことがあり、同期に頭を縫ってもらったり、産婦人科の先生に急遽診察していただいたりと、迷惑をかけてしまいました。しっかり仕事をするためには、無理して働くのではなく、自分の体調を見定めてしっかり休むことも大事だなと学びました。安定期以降は体調が落ち着いていたので、放射線被ばくのリスクがある処置や救急輪番当直を外していただくなど、周りの方々の配慮のおかげで安全に勤務できました。

公太:特別な配慮はしてあげられていなかった気がします。妻が悪阻の時に飲み会に行ったことがあり、帰ると妻に「酒臭い」とキレられました(笑)その後は反省して控えたと思います。

川口:そこで反省するのが素晴らしいですね(笑)わたしも初期研修中の妊娠・出産でした。初期研修中は当直翌日に体調が戻らずしんどかったり、立ちっぱなしの処置で低血圧になったりと体調管理には苦労しました。当直を免除してもらったり、体調不良時には早退させてもらったり、少し横になったりさせてもらっていました。入局後に妊娠が判明したときも、香川大学の先生たちは非常に気を使ってくださっていてなるべく立ちっぱなしにならないように配慮いただいたり、体調不良の際には顔色を見て、わたしが言わずとも早退したほうがよさそうと判断してくださったりしました。
育児と仕事の両立はどのようにしていますか?

川口:当院は主治医制ではなくチーム制なので、息子の発熱で帰らねばならないときや、他院で医師をしている夫が当直の日で早めにお迎えに行かねばならない日など、他の先生に安心して申し送って子どもの元へ向かうことができる体制になっています。家庭の事情をお伝えしているので、当直を週1までにしていただいたりと柔軟に対応してもらっており、なんとか家庭と両立できていると思います。

依里:きちんと両立はできていませんが、仕事は他の先生方にご協力いただき、家庭のことは夫と分担して、なんとかやっています。
平日は息子のお迎えの時間が決まっているので、終わらなかった仕事を他の先生方にお願いすることもありますし、チームで相談したいことや勉強したいことが残ったままになってしまうこともあります。夜や休日の勉強会への参加も難しいことが多いです。それでも、周りの先生方がサポートしてくださるおかげで、診療やカンファレンス、学会発表、大学院の研究など、日々充実しています。当直の夜に息子と会えないのは寂しいですが、お迎えの時間を気にせず働ける貴重な日でもありますし、当直明けの日にはいつもより早くお迎えに行けるので、息子も喜んでくれています。仕事も育児も、100%こなすことは難しいですが、それぞれの時間が限られているからこそ、集中して取り組むことができ、気分転換にもなっています。

公太:両立できているか自信はありませんが・・・。
うちの場合は、実家が遠方というのもあり、3人暮らしです。妻が当直ならお迎え、家事、必要なら子供の弁当作りもしています。
仕事では、新生児の研修をしています。先輩方のご指導のお陰で、超低出生体重児の気管挿管や点滴確保など処置の上達を日々実感できています。学会発表についても、「今日はお迎え大丈夫?」と気にかけて頂きながらもご指導頂けて、非常にありがたいです。また、研究日も頂けて、少しずつではありますが研究を進めています。ゆくゆくは博士号を取れればと思います。

森本:今は夫の留学に付き添い、アメリカ生活です。2024年1月に職場に復帰予定です。夫は結婚当初、基本的に家事をしない人でしたが、子どもが生まれてから少しずつ変化しています。今では掃除機をかける以外のことは子どものことも含めてできるようになりました!食事はパスタ担当で、さらにかぼちゃを切ったり、ブロッコリーを茹でたり、ゆで卵を作ったりといった毎週のルーティンはやってくれます。住む場所、協力体制、職場環境などが仕事をする上で重要と思いますが、仕事をやめようか迷ったことはないので、私は恵まれているのだと思います。
家庭と仕事の両立を目指す学生、研修医の先生へアドバイスをお願いします

依里:私は子どもが好きなので、子どもたちのために働く小児科医の仕事はとても楽しいです。もちろん家族も大事で、家庭と仕事、どちらの居場所も大事にしていきたいです。これまで先輩や同僚の先生たちにたくさん助けてもらったので、これから後輩の先生たちが家庭と仕事の両立で困ったときには、私もサポートしていきたいなと思っています。

森本:自分が今おかれている状況が常にその時点での自分のベストなのかなと思います。いかに苦労して学んでいくかが大切な時もありますが、健全な身体と心があってこそ患者さんに寄り添うことができます。いかに自分を保つか、何をすると自分がhappyになれるかを知っている人は何においても強いと私は思います。

川口:ずっと仕事メインで生きていくタイプの人間と思っていたのですが、すくすく育つ息子を見ると、ほんとうにかわいくて、パパ・ママだーいすきと言ってくれる今こそ時間をもっと割いてあげたいと思うようになりました。そんな気持ちを汲み取って、仕事での成長を促してくれつつ、家庭にも配慮してもらえる環境だと思います。仕事も楽しく、家庭も楽しく過ごせることが家庭と仕事をよい状態で両立できる秘訣なのかなと最近思うようになりました。

公太:お互い自分の仕事が好きで、仕事を続けたいと思っているので、共働きの形になりました。周りの方達にたくさんお世話になっているので、感謝の気持ちを忘れずに過ごしていきたいと思っています。アドバイスというか自分の決意表明みたいですね(笑)