小児神経グループ
診療グループの概要
小児神経グループでは、筋ジストロフィーや重症筋無力症などの神経筋疾患やWest症候群などのてんかん、さらに自閉症スペクトラムや注意欠如多動性障害などの発達障害など幅広い疾患を対象に診療を行っています。また、かがわ総合リハビリテーション病院と連携して重症心身障害を持つ患者様の診療にも積極的に取り組んでいます。
また日本小児神経学会小児神経専門医研修認定施設として小児神経科医を目指す医師の育成にも力を入れて取り組んでいます。
香川大学小児科アレルギーグループでは、最新情報について把握し、常に適切な診断と管理を行うことを信条としています。何よりも、十分な説明を行うことで、アレルギー疾患を持つ子どのやその保護者の不安を解決し、生活の質 (Quality of life)の向上に役に立つような診療を目指しています。当院には日本小児臨床アレルギー学会認定の小児アレルギーエデュケーター(PAE)の看護師も勤務しており、治療アドヒアランスを含めた指導にも重点をおいています。
注力している疾患
脊髄性筋萎縮症(SMA)
SMAは以前は治療法がなく、特にⅠ型と呼ばれる重症のタイプでは人工呼吸器をつけたり、チューブを用いて栄養を投与したりしなければ、9割以上が2歳までに亡くなってしまう難病でした。しかし近年複数の治療薬が登場しその予後が大きく改善しています。当院でもこれまでに新生児や乳児の患者様に治療を行い良好な結果が得られています。また令和5年6月からは早期発見早期治療を目指して香川県内での拡大新生児マススクリーニングを開始する予定です。
SMAの治療薬の投与
睡眠障害
睡眠に関する様々な問題(寝つきが悪い、夜間睡眠中に何度も目が覚めてしまう、朝なかなか起きられない、昼間に眠くなるなど)が長く続くと、脳機能が低下し、記憶力や判断力、注意力などが低下します。また、自律神経機能も乱れて、学校生活などに支障をきたすことも少なくありません。当院ではこうした睡眠に問題があり、日常生活に支障をきたしているお子様の診療を行っています。
脳脊髄液漏出症
脳脊髄液減少症は脳脊髄液が減少状態となることで、頭痛をはじめとする種々の症状を呈する疾患です。脳脊髄液減少症の中でも起立性頭痛を訴え、脳槽シンチグラフィーやMRミエログラフィーなどで髄液漏出が確実と判断できる病態を脳脊髄液漏出症と診断され、近年15歳以下の小児例の報告が増加しています。しかし、医療現場や教育現場における認識の低さから適切な診断がなされずに、精神的な原因によるものなどと誤認されている事例も多数あると考えられています。当院では脳神経外科と連携し積極的に脳脊髄液漏出症の診療を行っています。
教育
香川大学では小児神経専門医取得のための研修が受けられるほか、小児神経専門医研修関連施設として三豊総合病院・さぬき市民病院・小豆島中央病院・坂出市立病院とも連携して、キャリアに応じた切れ目のない研修を行うことができます。
また精神科神経科と連携して、子どものこころ専門医取得のための研修も受けることが可能です。
研究内容
小児神経グループでは下記の内容で研究を行っています。
乳幼児期における視覚認知機能についての研究
自閉症スペクトラム障害の方の特徴として視覚情報の処理が定型発達の方と異なっているということが知られており、その特徴は乳幼児期からみられると考えられています。当院ではアイトラッカーという、画面のどこを見ているかを調べることのできる機器を用いて乳幼児の視覚認知機能を明らかにする研究を行っています。
オンライン乳幼児健診の開発についての研究
オンラインで発達に関する課題を行っていただきお子様の発達を評価することのできる検査の開発を行っています。
その他にも
- 低出生体重児のメラトニン分泌についての研究(徳島大学小児科との共同研究)
- 小児期における横隔膜超音波検査についての研究
などを行っています。
アイトラッカー
オンライン乳幼児健診
診療グループ長の紹介
役職 | 講師(医局長) |
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出身大学 | 香川大学 |
卒業年 | 平成14年(2002年) |
専門 | 小児神経 |
所属学会 |
日本小児科学会 日本小児精神神経学会 日本周産期・新生児医学会 日本新生児成育医学会 |
資格等 |
日本小児科学会 小児科専門医・指導医 日本小児精神神経学会 認定医 子どものこころ専門医 災害時小児周産期リエゾン |
メンバー構成
小西 行彦
関連病院
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若手へのメッセージ
神経領域は小児科の中でも患者さんの多い分野です。当院では、大学を中心に他の医療機関と連携して入院・外来症例の診療を行うとともに、若手医師の指導を行っています。小児科専門医取得後のキャリア形成についても、国内留学などもライフコースに合わせた働き方を一緒に考えていきましょう。