香川大学医学部小児科

診療グループの概要

小児アレルギー・リウマチグループでは、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの小児アレルギー疾患に加え、若年性特発性関節炎などの小児リウマチ性疾患の診療を行っています。乳幼児期から成人移行期までを見据え、患者・家族に寄り添った診療を目指しています。
アレルギー疾患は乳幼児期から発症することが多く、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などが年齢とともに連続して出現する「アレルギー・マーチ」の概念が知られています。当グループでは、早期から適切な診断・治療介入を行うことで、症状改善のみならず将来的な疾患進展予防も重視した診療を行っています。食物アレルギーに対しては経口食物負荷試験を積極的に実施し、安全性に配慮しながら必要最小限の食物除去を目指しています。また、アトピー性皮膚炎や重症喘息に対する生物学的製剤治療、エピペン指導、学校生活管理指導などにも対応しています。さらに、小児リウマチ性疾患については他院小児リウマチ専門医師や院内他科とも連携しながら診断・治療を行っています。小児アレルギーエデュケーター(PAE)やClinical Allergy Instructor(CAI)を含む多職種協働体制を整え、地域のアレルギー診療拠点として診療・教育活動にも取り組んでいます。

診療実績

・経口食物負荷試験:約600件/年

・FPIESに対する経口食物負荷試験(国際コンセンサスガイドラインに準じた管理体制)

・食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息を中心に専門外来診療を実施

・重症アトピー性皮膚炎・重症喘息に対する生物学的製剤導入

・学校・園に対するエピペン指導、生活管理指導

・小児リウマチ性疾患診療

注力している疾患

アトピー性皮膚炎

「アレルギー・マーチ(atopic march)」のスタートとなる疾患と考えられており、その後のアレルギー疾患発症の予防のためにも早期診断・治療が重要です。治療の第一選択はステロイド外用薬ですが、慢性の経過をとるため、良くなったり悪くなったりします。われわれは、プロアクティブ療法(皮疹が改善した後も定期的にステロイド外用剤を塗布することで再発を予防し、最終的に保湿剤によるスキンケアのみでツルツルな状態を維持する治療)を適切に行い、再燃を繰り返さず良い皮膚状態を維持することを目標としています。一方、ステロイドではない外用薬や、免疫をコントロールする内服薬や注射薬が開発され、難治性や重症の患者さんにも高い効果が確認されています。

食物アレルギー

子どもに多くみられるアレルギー疾患の代表です。食物アレルギーの管理の基本は「必要最小限の除去」であり、血液検査や皮膚検査の結果だけで食物除去をすることはすすめられていません。また原因食物を食べることができる範囲で継続することは耐性獲得につながることが期待されています。そのためには、経口食物負荷試験による適切な診断や安全に摂取できる量の確認は重要です。
われわれは、県内で最も多く経口食物負荷試験を行っており、食物アレルギーの管理に力を入れています。

消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)

一般的な食物アレルギーとは症状が違い、嘔吐や下痢・血便など消化器症状がみられます。最近では卵黄による乳児の消化管アレルギーがトピックスとなっていますが小児アレルギー・リウマチグループ、血液検査では診断することができず、食べてみないと診断や寛解(治ったかどうか)が分かりにくいのが難しい点です。われわれは消化管アレルギーに対しても、積極的に経口負荷試験を行っています。

気管支喘息

一般的な疾患で定まった治療方針もありますが、適切な診断を受けられていない場合や、吸入アドヒアランスが悪いことに気づかれずコントロールが不良な例も散見されます。当科には呼気NO検査に加え、モストグラフも導入しており、適切な診断・治療評価に努めています。またPAEの指導のもと、吸入アドヒアランスを高めることに注力しています。

教育

医学生・研修医・専攻医に対し、小児アレルギー疾患の基本診療から専門的治療まで幅広く指導しています。経口食物負荷試験やアトピー性皮膚炎外用指導など、実践的な診療教育を重視しています。また、香川県アレルギー疾患医療拠点病院事業を通じ、医療従事者や学校・園関係者向け研修会にも参加しています。さらに、PAEやCAIの資格取得支援、看護研究指導などを通じて、コメディカルスタッフ教育にも力を入れています。

特徴

・香川県アレルギー疾患医療拠点病院として地域医療に貢献

・小児アレルギーエデュケーター(PAE)、Clinical Allergy Instructor(CAI)を含めた多職種連携

・年間約600件の経口食物負荷試験を実施

・生物学的製剤を含めた最新治療に対応

・小児リウマチ疾患について院内関連各科と連携

・学校・行政とも連携した地域啓発活動やエピペン講習会を実施

公費研究採択課題・研究内容

アトピー性皮膚炎早期介入、食物アレルギー診療、FPIES(食物蛋白誘発胃腸症)診療、腸内細菌叢解析などをテーマに研究を行っています。また、日本小児アレルギー学会における喘息・食物アレルギー診療ガイドライン作成事業に参画し、クリニカルクエスチョン(CQ)およびシステマティックレビュー(SR)を担当しています。小児リウマチ疾患についても関連診療科と連携し研究活動を進めています。

診療グループスタッフの紹介

病院助教/国立成育医療研究センターアレルギーセンター臨床研究員
荻田 博也
役職 病院助教(大学院生)
出身大学 香川大学
卒業年 平成23年(2011年)
専門 小児アレルギー
所属学会 日本小児科学会
日本アレルギー学会
日本小児アレルギー学会
日本周産期・新生児医学会
日本新生児成育医学会
The European Acaademy for Allergy and Clinical Immunoligy Junior Member
資格等 日本小児科学会 小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会 専門医
日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生インストラクター

メンバー構成

荻田 博也(アレルギー担当)
井上 依里(リウマチ担当)
西庄 佐恵(診療協力医師)

関連病院

  • 香川県立中央病院
  • 坂出市立病院
  • さぬき市民病院
  • 小豆島中央病院
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若手へのメッセージ

小児アレルギー・リウマチ領域は、外来・病棟・救急・地域連携・教育活動まで幅広く関わることのできる分野です。近年は新規治療薬の登場により診療が大きく進歩しており、専門性と総合力の両方を磨くことができます。患者さんや家族と長期的に関わりながら成長を支えられる、やりがいの大きい分野です。