医工連携研究・余剰受容体の直接定量解析法の開発(研究開始:2016.4~)

工学部微細構造デバイス統合研究センター 寺尾京平准教授との共同研究

 受容体のアゴニスト刺激により最大反応が得られている時、すべての受容体が活性化されているわけではありません。反応にあずからない受容体があり、これを余剰受容体と呼んでいます。余剰受容体が存在することで、細胞は刺激に対して反応性が高まったり、繰り返される刺激に応じることができたりします。しかしながら、余剰受容体を直接に定量解析する方法はありません。アゴニスト刺激による細胞反応のEC50値と、アゴニストと受容体との結合の強さを反映する解離定数Kd値からその存在を概念的にとらえられているにすぎません。

 私たちは、寺尾准教授が開発中の、細胞表面の局所刺激を可能とするマイクロデバイスを用いて、刺激する細胞面積を変えて細胞反応の用量作用関係を解析することにより、余剰受容体の存在を直性に定量解析する方法の開発に取り組んでいます。

 現在処方されている医薬品の6割以上が細胞膜受容体に作用します。余剰受容体の割合は受容体の種類によって異なることが推定されています。余剰受容体の定量評価は、一人一人に最適の薬物治療を図る上で重要な情報を与えることが期待されます。患者由来の病的細胞あるいはiPS細胞を用いて治療薬に対する余剰受容体の実態を把握し、テーラーメイド薬物治療への応用を目指しています。