近年、成熟脂肪細胞へのトロンビン刺激は、炎症性サイトカインであるIL-6(インターロイキン-6)の生合成および分泌を促進性に働くとともに、このシグナルは脂肪細胞特異的脂肪酸結合タンパク質(FABP4, aP2)を介していることが明らかとされています(Kajimoto K. et.al, Endocrinology 153(11):5629-5636, 2012)。しかしながら、前駆脂肪細胞が成熟脂肪細胞へ分化する過程において、トロンビン刺激が如何なる作用を有するかは不明なままです。
トロンビン受容体を活性化するトロンビンやトリプシンによる脂肪細胞分化に与える影響を明らかにする研究を進めています。分化の程度は、脂肪細胞のマーカー遺伝子発現をリアルタイムPCR法、細胞内脂質をOil red O染色により評価しています。トロンビン受容体に対するRNA干渉法を用いた発現抑制、あるいは薬理学的阻害剤処理が脂肪細胞分化誘導へ及ぼす影響についても検討しています。