新たな非肥満非アルコール性脂肪肝モデル動物の開発と脂肪肝改善法確立(研究開始:2013.3~)

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH: Nonalcoholic steatohepatitis)は、メタボリック症候群の肝臓における表現型の一つです。しかしながら、肥満の程度が比較的軽い我が国においても非アルコール性脂肪性肝炎の発症率が増加傾向にあるのも事実です(J Gastroenterol 38(10):954-961, 2003)。また、非アルコール性脂肪性肝炎は、肝細胞の線維化を引き起こし、肝硬変や肝がんへと長い年月をかけて進行するために、その予防は近年非常に重要視されています(肝炎等克服緊急対策研究事業報告書、厚生労働省)。

 非アルコール性脂肪性肝炎発症の予防法や治療法を確立するためには、分子機構明らかにするための新たな非肥満非アルコール性脂肪肝モデル動物の開発が必要となります。これまでに、通常食で飼育したマウスにグルココルチコイド受容体遮断薬として知られるミフェプリストンを14週間与えると非肥満性非アルコール性脂肪性肝炎様病変を惹起する結果が得られています。

 現在、ミフェプリストンの濃度を変化した際の脂肪肝形成能への影響および14週よりも早期の脂肪肝形成能を検討することでモデル動物の作出法の最適化を、耐糖能試験、免疫組織化学染色およびOil red O染色にて行っています。さらに、培養肝細胞(HepG2)にミフェプリストン刺激した際の脂質代謝に及ぼす遺伝子発現をリアルタイムPCR法、タンパク質発現をWestern Blot法、細胞内脂質をOil red O染色にて検討しています。