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ロボット手術

da Vinci サージカルシステムの歴史

da Vinci サージカルシステムの原型は、1980年代の後半に、米国陸軍と旧スタンフォード研究所において開発されました。

当初は、戦場での手術を遠隔で行うシステムの開発を目的として資金提供を受けていましたが、途中より民間での応用を目指して開発されています。
1996年には最初のロボット支援下手術用サージョンコンソールを開発されています。2000年には、一般的な腹腔鏡下手術を適応とする初のロボット支援下手術システムとして、FDA(アメリカ食品医薬品局)により認可されています。
その後は、胸腔鏡(胸部)手術、補助切開部からの心臓手術のほか、泌尿器科、婦人科、小児外科、経口アプローチによる耳鼻咽喉科の手術についてもFDAから認可を得ています。

2014年6月30日時点で、約3,100台のda Vinci サージカルシステムが全世界の病院に設置されています。
内訳は、米国が2,153台、欧州が499台、アジアが322台となっています。現在、日本では200台以上のda Vinci サージカルシステムが導入されています。

da Vinciによる手術の特徴

手術の方法

「ダヴィンチ」による手術は、鏡視下手術と同様、患者の体に小さな穴を開けて行う手術です。
体内を見る内視鏡カメラと3本の手術器具を取り付けたアームをもち、医師は手術台から離れた場所に置かれた装置で立体(三次元)画像を見ながら手術を行います。

三次元、高解像度カメラ

カメラは三次元画像、高解像度で鮮明な拡大画像が得られ、通常の手術では見ることのできない体の細かな観察も可能となり、また、3本のアームは微細な動きが可能で、従来の手術より繊細で安全な手術ができます。ロボットアームは実際の術者の動きの3分の1に動きをスケールダウンして動かすことがほとんどです。また手ブレ補正機能もついています。

前立腺の手術で威力を発揮

前立腺は骨盤の最も奥に位置し手術操作が難しい臓器ですが、「ダヴィンチ」はこのような前立腺の手術で威力を発揮し、現在、本邦では前立腺悪性腫瘍手術に対してのみ保険が適用されています。実際当院での開腹手術での前立腺全摘除術では出血量が平均1000ml程度でしたが、ロボットの導入により100ml以下になっています。今まで輸血が必要になった症例もありません。

患者の身体への負担が少ない

(術後1年目の腹部の状態:右腹部の傷は以前に行った虫垂炎手術痕)

「ダヴィンチ」による手術は、術中の傷口が小さく出血量が少ないことや術後の疼痛も少ないなどの特性を持っており、今後は患者の身体への負担の少ない手術が一層行えるようになります。

泌尿器科領域では通常の腹腔鏡手術では困難な縫合操作を有する腎部分切除術や、前立腺全摘除術、膀胱全摘除術を毎週のように施行しています。

ロボット手術の適応

泌尿器科領域では2012年に前立腺全摘除術、2016年に腎部分切除術、2018年に膀胱全摘除術が保険収載されました。
当院でもこれらの手術を施行しています。