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前立腺肥大症

前立腺とは

前立腺は膀胱の出口に尿道を取り巻くように存在する臓器です。本来の機能は精液の一部を作ることと射精の際に必要です。
正常の大きさは15〜20mlですが、加齢とともに大きくなります。前立腺が肥大し下に示すような症状を呈した状態を前立腺肥大症と呼びます。

前立腺肥大症の症状

頻尿・夜間頻尿・残尿感・排尿困難感・排尿後滴下、尿意切迫感など様々な症状があります。
症状の程度は一般に前立腺が大きいほど強くなりますが個人差も大きく、前立腺が小さくても症状の強い人もいれば大きくても症状のない人もいます。
前立腺癌と前立腺肥大症は直接的な関連はなく、肥大症が原因で癌になるということはありません。

検査

前立腺肥大症の症状を確認する質問表(国際前立腺症状スコア:IPSS)、超音波検査、尿流量測定(ウロフローメトリー)、残尿測定などの検査を行い症状の程度、重症度を判定します。
前立腺癌との鑑別のためにPSA(前立腺特異抗原)の採血を行います。

治療

前立腺肥大症の治療には薬物治療と外科的治療があります。

薬物治療

前立腺肥大症の薬物治療には主に前立腺の緊張を緩める薬剤(α1遮断薬)、前立腺を小さくする薬剤(5α還元酵素阻害薬)、前立腺の血流を改善する薬剤(PDE5阻害薬)があり、症状に応じて複数の薬剤を組み合わせる事もあります。
尿意切迫感がある場合には過活動膀胱の治療薬を併用する場合もあります。

  • α1遮断薬の副作用には立ちくらみ、鼻づまり、下痢、射精障害などがあります。
  • 5α還元酵素阻害薬の副作用には性機能低下(性欲低下、勃起不全)や肝機能障害があります。
  • PDE5阻害薬の副作用には血圧低下などがあります。

持病や服用中の薬剤によっては併用できない薬もあるため、受診の際にはお薬手帳などで現在服用中の薬が確認できるようにしてください。

外科的治療

以前は下腹部を切開して前立腺をくりぬく手術が行われいました。
現在では開腹手術はほとんど行われておらず、尿道に機械を入れて前立腺を内側から切除・蒸散する手術がほとんどです。

最も一般的に行われているのはTUR-P(経尿道的前立腺切除術)で電気メスを用いて前立腺を削り、尿道を拡げます。
最近はレーザー手術(HoLEP:ホルミウムレーザー前立腺各出術、PVP:光選択的レーザー前立腺蒸散術)が多く行われるようになっており、当科では主にHoLEPを実施しております。

HoLEPはレーザーを用いて前立腺を内側からくりぬく手術で1週間程度の入院が必要です。
非常に大きな前立腺でもHoLEP手術で対応が可能です。

PVPはレーザーで前立腺を内側から蒸散させる手術でより短期間の入院で実施できますが、一度の手術で切除できる範囲に限度があります。
当科ではPVP手術は実施しておりませんが希望があれば高松市内の関連施設を紹介することが可能です。