Global Trigger Tool 日本版 |
4.トリガーツールの使い方
ポイント
- トリガー項目を、「斜め読み」で拾う。カルテを読み込まない。
- トリガー項目が検出されたら、その周辺の記載を読み、有害事象か否か判定する。
- トリガー項目は有害事象とは異なるので、トリガーの定義にこだわり過ぎない。
- トリガー項目を見つけるのが目的ではない。
- 3a 以上(あるいは2 以上)の事象を把握する。
- 2週間に10 カルテのペースでレビューを行う。
- 医師レビューは、看護師等レビュー記録の確認作業が主である。
- トリガー項目は、全部で53 項目あります(次ページ)。
- トリガー項目は、「診療」、「投薬」、「手術」、「ICU」、「周産期」、「救急」からなっており、このうち「診療」、「投薬」は全患者に共通です。「手術」、「ICU」、「周産期」、「救急」については、患者により組み合わせて用います。
- トリガー項目を中心にザーッと眼をとおし(スキャン)、陽性項目があればその周囲を読みこんで行きます。特に問題なければ再びスキャンを続けます。有害事象の疑いがある場合には、さらに深く読み込んで行きます。
- 他院、多施設由来のものについては、対象に含めるか否か、個々の施設で判断して下さい。
- 把握する事象レベルは、影響度分類3a 以上ですが、2 以上でもOK です。
- 予防可能性(不可抗力等)の無いものも含めます。
- 患者さんの心理的、精神的事象(極度の不安等)、オミッション(徴候の見逃しによる治療の遅れ等)は重要な有害事象ですが、レビューでは見つかりにくく、また判断がしにくいことから、明らかな医療的介入が原因となった場合のみ対象とします。
- この段階では因果関係についての詳細な検討はしません。
- 有害事象の有無、事象の数、影響度分類を決定し、見直し時に、医師レビュー時にわかるよう事象の要約を作成します。
- 慣れてくるとレビュー時間は短縮します。
- 1 カルテに長時間かけても、結果はそれほど変わらないとの報告があります。IHI では20 分以上かかる場合には、そこで終了(タイムアップ)としているようですが、慣れるまでは多少時間がかかるかもしれません。
- 原則として2 名が独立して行い、後で突き合わせながら有害事象の有無について判定します。
- 看護師等のレビュー記録を参照しながら、確認・修正を行います。
- できれば予防可能性について判断してください。
- カルテを見ることは原則としてありません。
- 看護師等によるコンセンサス作業と同時に行うこともできます。