第1回班会議議事録

厚生労働科学研究費補助金
医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業
「小児等の特殊患者に対する医薬品の製造改良その他有効性及び安全性の確保のあり方に関する研究」

第1回班会議議事録

日時:
平成20年11月7日(金) 14:00〜17:00
場所:
ホテルグランドヒル市ヶ谷 2F 「琵琶」
参加者:
伊藤 進 (研究代表者)、網塚貴介・佐地 勉・中村秀文・ 中川雅生・秋山裕一・尾崎雅弘 (研究分担者)  神谷太郎・安田真之 (研究協力者)
  • 1. 今年度の分担研究課題について
  • 1) 医療関係者への小児医薬品に関する情報提供のあり方に関する研究  (網塚貴介)

    2) 本邦の小児薬物療法の実態調査  (板橋家頭夫)

    3) 小児期医薬品の承認状況と薬価算定の問題点   (佐地 勉)

    4)小児等医薬品に関する諸外国の薬事制度に関する研究   (中村秀文)

    5)剤形変更、特に錠剤の粉砕化使用に係る情報の調査   (中川雅生)

    6)小児規制と製薬企業の対応状況の調査   (秋山裕一・尾崎雅弘)
  • 質疑:
  • 1)に関しては、モデルケースとして日本未熟児新生児医療連絡会の組織を利用して、そのHPにおいて医薬品と医療機器に関する情報を収集してその提供のあり方を検討するシステム作りをする。ここでの問題になったことは、適応医薬品の有害事象報告は医師として報告の義務があるが、適応外使用医薬品の有害事象報告は医師の義務があるかどうかということであった。これに関して、製薬協の方で調査していただくこととした。
    また、適応外使用医薬品の使用は有害事象の発生が多く、しかも重篤なケースも多いことが外国で報告されている。日本では、どのようになっているかの検討も必要である。
  • 2)板橋分担研究者が体調不良のため、神谷研究協力者が報告した。電子カルテによるオーダリングシステムにおいて、小児処方をオーダーする場合の問題点を検討する。電子カルテは、NICUでの使用が困難であり、医事会計カルテと新生児オーダーを結びつけて作成したシステムは安全性が担保できないと思いアンケート調査することにしました(網塚)。小児の用法・用量が決まった医薬品について、電子カルテのオーダリングシステムで的確にオーダーするにはどのようなシステムにすれば良いかの観点で検討していただくこととした。
  • 3)については、引き続き検討することとした。
  • 4)製薬協の協力を得て、米国の医薬品仕様書の日本語版を作成した。そして、製薬協の小児医薬品のワーキンググループと会議を行い検討してきた。今できる範囲内で、局長通知レベルで米EUの法令の中から提示できないかを模索している。
  • 5)滋賀医科大学附属病院での錠剤の粉砕化の調査では28剤あった。その粉砕化による薬剤の安定化の情報を製薬企業に依頼しまたところ、77%の返事があった。粉砕化された薬剤の調査では、剤形変更が外来 11.7%、入院 19.7%であった。散剤の剤形があるのに粉砕化例があった。その理由は、散剤であると量が多くなりすぎるためであった。経管栄養のケースは仕方が無く粉砕化されていた。その場合は、経管チューブへの吸着の問題も検討する必要があります。原末と錠剤粉砕化との吸着データの比較は可能である。粉砕化による吸収や有効薬のバラツキの問題があり、解決しないといけないことが多々あります。こども用剤形の開発を製薬企業がしていただけない現状では、検討しないといけない重要な問題である。
     英国の剤形変更の解説文書がありますので参考にしてください(中村)。
  • 6)小児医薬品の開発に関するインセンティブに関する考え方を中心に製薬企業へのアンケート調査を行っている。しかし、アンケート調査での返事が来ないところを考えると小児への関心が低くなってきている。製薬企業は生き残りに必死なのが現状です。
    小児医薬品の開発では、インセンティブ(飴)の部分は検討されているが、規制(鞭)の部分が決まっていない。法令化を持ち出すには、あまりいい時期ではないし、議員立法がいいと思うが時間がかかる。通知レベルの対応が良いように思える。
  • 2. 小児の年齢を加味した個別医薬品の用法・用量に関するガイドラインの作成
  • これに関しては、以前に伊藤が以下のことを検討してきた。 まず、最初に未熟児・新生児の用法・用量の決め方が判明すれば、それ以後の小児に適用できると思い検討を行ってきた。
    ・ PK/PDのデータは、必須と思われる。Population Pharmacokineticsのデータは、
      検索すれば未熟児・新生児でも多く見出される。
    ・ 個別の医薬品をヒトのPKとin vitro の発達変化を加味した Alcorn J & Mcnamara PJの仮説が適用できるか
    ・ 医薬審107号通知によるPMSの小児の用法・用量の実態調査を周知徹底させ、
      その評価を行い、本邦での適応外医薬品の用法・用量を決定する。
    ・ 生後6ヶ月以後は、Augusberger (I,II)、Clarkやvon Harnackの式で算出可能な医薬品もある。

    医薬審第 107号
    平成11年2月1日

    各都道府県衛生主管部(局)長 殿

    厚生省医薬安全局審査管理課長

    再審査期間中の医薬品の取り扱いについて


     医薬品の承認申請時に添付される臨床試験に関する資料においては、一般に、小児、高齢者、妊産婦等の特定の集団を対象とした試験成績は限られたものとなっている。このため従来より、当該医薬品の再審査期間中に適切な市販後調査を実施し、これらの患者に医薬品をより適正に使用するための情報を収集することを指導しているところである。また、承認申請の対象にならなかったものの、当該医薬品の薬理作用からみた承認を取得しておくべきと考えられる効能又は効果等がある場合には、医療に貢献するため、その速やかな承認取得が望まれる。
     したがって、再審査期間中の医薬品の取り扱いについて、貴管下関係業者に対して下記のとおり指導方御配慮願いたい。


    • 1. 再審査期間中の医薬品については、必要に応じ小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者、医薬品を長期に使用する患者等における有効性、安全性並びに適切な用法及び用量に関する情報を収集するための市販後調査計画を立案し、十分な調査を実施すること。
    • 2. 1より得られた調査結果等を基に、遅滞なく当該患者群に対する使用上の注意等の記載の充実を図るとともに、必要に応じ用法及び用量等の承認事項一部変更承認申請を行うこと。
      質疑:107号通知は周知徹底より書き換えが必要です。成人適応後に小児で適応外使用が進んで知って良いのでは、治験が難しくなる医薬品もあります。もっと、強制力のあるものに変えることが必要です(中村)。この調査をした時に、回収率74.4%で医薬審第 107号通知を知っている企業が88%であり、対応した品目は31品目であった。現状の再審査機関中の医薬品について製薬企業が検討していただけるとありがたい。前項での問題になったが、小児に使用されると考えられる医薬品について、成人治験の時に同時開発される必要があります。実際は、なかなかしていただけないのが現状です。
      また、小児科医が小児薬用量を決めるのに使用している新小児薬用量 改訂第4版 診断と治療社 2006 の内容を検討することも大切です(中川)。
  • 3. 小児関連学会の薬事委員の作業についての要望
  • 1) 小児関連学会の薬事委員の作業についての要望

    2) 日本医師会の医薬品適応外事例の調査報告 次回の詳細調査も成果として含める
  • 質疑:
  • 1) に関しては、小児薬物療法検討委員会では適応外使用医薬品を整理しなおして近々ワーキングをする予定です。
  • 2) 関しては、適応外使用医薬品では用法・用量の決まっていない薬が多いので、それを知らせる意義があることよりこの研究班の仕事として良いですか。この詳細調査は、経済性を調査しないといけないので大変な作業になります(中川)。また、何か問題があったときに保険適応を決めた人が責められる可能性があります(中村)。使用根拠を中心に検討していただき経済性を少し考えていただいてこの研究班の成果の中に入れます。
  • 4. 平成21年1月23日(金)普及啓発事業のテーマ及び演者について
  • テーマ:新たな小児適応外使用医薬品を生まないために
    時期:平成21年1月23日(金)
    場所:東京グランドホテル 3F 桜
    時間:13:20 − 17:00
       13:20 − 13:30
  • 開会挨拶
     横田 俊平(日本小児科学会会長、横浜市立大学小児科)
     松井 陽 (国立成育医療センター、病院長)
    講演内容 13:30−17:00
     座長 伊藤 進
        中川 雅生
    13:30−13:50
    1. 小児治験の問題点 
    国立成育センター治験管理室長 中村 秀文
    13:50−13:30
    2. 小児のグローバル治験
    グラクソ・スミスクライン株式会社 岩崎 甫
    13:30−14:10
    3. 小児治験に関する企業の意識
    日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会 佐藤
    14:10−14:30
    休憩
    14:30−14:40
    4. 小児治験推進における本邦のインフラ整備
      厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室 佐藤 岳幸
    14:40−15:20
    5. 小児治験推進のための医薬品機構の取り組み
      独立法人医薬品医療機器総合機構 佐藤 淳子
    15:20−16:00
    6. 小児臨床試験から小児臨床治験へ
    和歌山県立医科大学小児科 吉川 徳茂

    16:00−17:00
    総合討論

    挨拶
    吉川 徳茂 (日本小児科学会薬事担当理事 和歌山県立大学小児科)