がん化学療法部門

患者様が、通院にて適正かつ安全に化学療法を受けられるような環境を提供しています。

 

診療体制

外来化学療法室にはベッド、リクライニングチェア、計16台が装備されており、専任看護師が常駐しています。薬剤のミキシング(溶解、混合、ラベル貼付などの準備)は専任薬剤師が薬剤部内専用ミキシングルームにてすべて行います。施設は平日午前8時30分より午後5時30分まで利用可能であり、完全予約制となっています。

 

概要

外来化学療法室は抗癌剤や生物学的製剤などを用いて外来患者様の治療を行う専用施設です。

厚生労働省指定施設基準を満たす附属病院特殊診療施設として、2004年に開設され診療業務を行っております。
それまでは各科の外来診療室にてそれぞれ化学療法治療を行っておりました。

しかし治療中の患者様に専門の医師、看護師、薬剤師などが常時付き添うことは困難であることから、非常時の対処の問題や、治療の多様化・複雑化に起因する診療ミスの可能性など安全管理上の問題が指摘されておりました。

化学療法室設立後は、各科で行っていた化学療法は外来化学療法室で中央管理されるようになりました。
同室は専用施設であり周囲の一般患者様から隔離されているために病原菌の持ち込みを最小限にとどめることができます。
抗癌剤の投与は開始から終了まで患者様が安心かつリラックスして治療が受けることができるよう、専任看護師とモニターによって監視をうけながら、音楽を聴いたりテレビを視たりして過ごすことができます。

また、抗癌剤専用のオーダーリングシステムの導入、医師・薬剤師・看護師による確認体制の確立により極めて安全で質の高い治療を提供することが可能になりました。今後も益々需要が高まる外来化学療法室の運営には、施設スタッフを始め各診療科、薬剤部、看護部、臨床検査部が深く関わっており、診療レベル向上に努めています。

 

アメニティ

患者様が治療中も過ごしやすいように各ベッドサイドにはテーブル、テレビ、ナースコールがあり、それぞれの室内には冷蔵庫や車いすでも利用できるトイレが設置されています。
ベッドやリクライニングシートはオープンスペースに配置されてはいますが、点滴中のプライバシー保護も可能な構造になっています。
治療中はリラクゼーション効果のある音楽を流しています。

 

看護師の業務と役割

ベッド・チェア計16床で運用し、認定看護師2名を含む常時4名の看護師が抗がん剤や生物製剤などを用いた治療を実施しています。
新規抗がん剤や支持療法の進歩により治療件数は年々増加しています。

高度で安全な治療を提供出来る治療環境、異常の早期発見、副作用の観察や症状緩和、精神的苦痛の軽減、在宅セルフケアの維持・向上を目標に看護を行っています。
抗がん剤治療を受けるにあたり、安心して治療が受けられるよう初回治療時にはオリエンテーションを行い、外来化学療法の概要、治療に伴う副作用と対処方法、緊急時や対処に困った際の連絡方法について説明を行っています。

私たちは患者さんが社会生活を送りながらも安心かつ快適に治療を受けていただけるよう看護に取り組んでいきたいと考えています。

 

薬剤師の業務と役割

薬剤部は、外来化学療法を行う全診療科を対象として混合調製やレジメン(抗癌剤の種類、投与量・方法、投与間隔などを設定した治療計画書)管理を担当しています。
業務の流れとしては以下の通りです。

 

  1. 投与前日:オーダーされた薬剤を患者様ごとにセットし、レジメンと照合し処方監査を行います。
  2. 治療当日:医師からの実施確認連絡を受けてから、無菌室内の安全キャビネットでダブルチェックのもとに混合調製を行い、外来点滴室に送付します。

 

この作業を薬剤師5名が製剤室業務を兼任して行っています。

このほか当院の薬剤師は抗がん剤のみならず、前投薬を含めた全ての対象薬剤の混合調製を行っています。
混合調製は安全キャビネット内で行われるため、薬剤の無菌性を保つことができます。
抗がん剤投与中の患者様は、副作用の1つである白血球減少などにより免疫力が低下して易感染状態となることがあります。
それ故、薬剤部において一括して無菌調製を行うことは薬剤の汚染を防ぐことができ、患者様の感染予防に貢献していると言えます。

また、抗がん剤には細胞毒性の高い薬剤が多いことから、近年医療従事者の抗がん剤被曝による健康被害が問題視されています。
事実、抗がん剤の中には揮発性の高い薬剤もあり、医師や看護師の体内から抗がん剤が検出されたとの報告もあります。

薬剤師は個人防護具を着用して安全キャビネット内で閉鎖式器具を使用して調製しており、このような被曝対策を講じることで患者様やそのご家族だけでなく医師、看護師などの医療従事者の抗がん剤曝露を最小限に防ぐことができていると考えています。

 

資料

抗がん剤治療を受けられる方に 2016-2017

キイトルーダによる治療を受けられる患者さんへ

がん免疫療法時代における泌尿器科と腫瘍内科の医療連携について