心理学と医学の基礎を融合した新しいカリキュラムのもとで医学の素養を備えた心理援助実践力のある「こころ」の専門家をめざしましよう!
臨床心理学とは人間の「こころ」の問題の解決をめざした心理学の一分野ですが、これまでは文系の学問分野とみなされてきました。心理援助者の活躍の場は、保健医療、教育、福祉、行政、司法、産業など多岐にわたりますが、近年、医療現場でのチーム医療への参画、教育現場でのスクールカウンセラーの導入、多発する大規模自然災害の被災地での心のケアなどにおいて、そのニーズはますます高まっています。
香川の地域の課題としても、認知症などの疾患や高齢者のメンタルヘルスのケアはこれからより重要性を増していきます。近い将来に起こるとされる南海トラフ大地震の発生時には、被災者の心のケアをおこなうとともに、機動的に活動する医療チーム・DMATにも加わることのできる心理援助者が必要となります。こうした状況を反映して、心理援助者の方々への調査では、「学生時代に医学を学んでおきたかった」という人がとても多いことがわかっています。そこで、香川大学医学部では、心理援助者の活躍の広がりと、こうした現場の声に応えていくためにも、心理学と医学の基礎を融合して、心理学の専門知識に加えて「こころ」と「からだ」がどのように関わっているのかを理解し、応用していくために必要な医学の基礎知識を身につけるとともに、「こころ」の病気や障害についても学ぶことができる新しい学科の創設が必要だと考え、国立大学医学部では初めてとなる臨床心理学科を平成30年4月に開設することとなりました。
カリキュラムにはさまざまな体験実習も含まれています。附属病院や教育・福祉施設で、実際に利用者や職員のみなさんと交流しながら、実践的な力を身につけていくことができます。さらに、医学科や看護学科の学生と共に学びながら、チーム医療や多職種連携における心理援助者の役割についての理解を深めることができます。また、医学科や看護学科の学生にとっても、異なる専門知識をもった臨床心理学科のみなさんとの学びは、よい刺激となることでしょう。
2015年に公認心理師法が公布され、国家資格となる「公認心理師」が誕生することになりました。新学科での学びには、この受験資格を得るための授業も含まれています。学科卒業後に大学院(設置計画中)に進学し、大学院医学系研究科修士課程を修了すると公認心理師の受験資格が得られます。新しい力を備えた専門職をめざす皆さんをお待ちしています。
香川大学医学部長 上田 夏生