医学系研究科看護学専攻(博士後期課程)の開設

香川大学では令和4年4月より、大学院に新たな博士後期課程を開設し、『健康創造看護学』の教育・研究を展開します

看護学専攻博士後期課程の設置

本学大学院医学系研究科看護学専攻は、医学部に設置された看護系大学院として、地域医療の課題解決や、看護学の創造・開発に貢献する地域のリーダー(教育者、研究者、高度専門職業人)の育成に取り組んでいます。さらなる機能強化のために、令和4年4月から、同専攻に博士後期課程を設置しました。これに伴い、同専攻の修士課程は博士前期課程に変更し、博士課程における前期・後期課程として再編成しています。
博士前期課程・・・修業年限2年 修士(看護学)を授与(入学定員 16 名、収容定員 32 名)
博士後期課程・・・修業年限3年 博士(看護学)を授与(入学定員2名、収容定員6名)

本専攻の設置の目的

あらゆるライフステージにある人々の健康 QOLの向上を目指し、健康に関連する学問分野との融合により看護を探究することで、生命・生活・人生に生じる様々な健康に関するイノベーションを起こすことに寄与し、高い倫理観・指導力をもつ看護実践者、教育・研究者を養成します。

入試情報

詳細はこちらを参照して下さい

設置する分野の考え方

〇本博士後期課程には、「健康創造看護学」の1分野を設置しています。
〇「健康創造看護学」では、あらゆるライフステージにある人々の健康を支え、守る相互支援社会の構築のため、人々の生命、生活、人生に生じる健康課題に対して、看護学を主軸におき、健康に関連する学問分野の知見を取り入れ、(1)個人および集団の健康力を高めるケア開発、(2)より高い健康水準を維持するための技術革新、(3)一般市民を含む人々の健康教育に関連した健康イノベーションを探究します。
〇健康創造看護学では、実社会の健康課題を解決するためのヘルスケアを『健康発達支援看護』と『地域ケアシステム創造看護』の両面から捉えることにより探究します。
『健康発達支援看護』:あらゆる発達段階にある個人・集団の健康力や生活の質向上のためのケアモデルの創造・研究を目指します。
『地域ケアシステム創造看護』:地域における組織や社会の活性化を図る方法やシステムの創造・研究を目指します。

博士後期課程の概要

特別研究の概要

領域 研究テーマ







健康寿命延伸の視点から、療養患者の健康力向上、重症化予防のための看護を発展させる新規性のある研究課題を選定し、新たな研究方法へのチャレンジを検討しながら、臨床との連携・協働による研究手法を選択し、結果の妥当性を確保した論文を作成できるよう研究指導を行う。(成人看護学:市原教授)
少子化社会における様々な発達段階・健康レベルにある小児の健全な成育を支援するためのケアアプローチの構築、健康教育支援方法の開発を導く、研究課題を選定し、様々な研究方法の可能性を検討のうえ、創造性、独創性を備えた研究論文作成のための研究指導を行う。(小児看護学:谷本教授)
周産期をめぐる国内外の現状と課題の分析から母子とその家族における健康課題を取り上げ、母子のQOL向上のための妊娠期ケア構築や、ヘルスプロモーションにおける母子関係の重要性について統計的手法を用いて探求する。また、中国や他のアジア地域の研究者との共同研究を通じて、国際的視野に立った周産期ケアに関するエビデンスの構築を目指す。学生が自己の興味を研究課題として明確に定義し、課題解決のための一連の研究プロセスを有意義に辿り、研究結果を社会に提言できるように研究指導を行う。(母性看護学:川田教授)
超高齢社会における高齢者問題やそれに伴う倫理的課題、また高齢者やその家族が抱えるニーズを量的・質的データより明らかにし、エビデンスに基づく創造的ケアやシステムの開発を探究できる研究指導を行う。(老年看護学:山本教授)
思春期における性教育、月経前症候群・困難症、成人期における婦人科がん検診の啓蒙活動、不妊症と妊産褥婦のメンタルヘルスの不調、子育ての悩み、更年期におけるうつ、慢性疼痛など、現代社会に生きる女性たちの健康課題を選定し、新たな解決方法を創造し探求する。加えて、漢方薬が看護学教育モデル・コア・カリキュラムに明記されるなど、看護教育の中で漢方教育が普及しつつあるなか、漢方、鍼灸の知恵は健康課題の解決に向けたセルフケアの方法を創造し得る。エビデンスにつながる研究方法について吟味し、論文作成のための研究指導を行う。(健康科学:塩田教授)












ウイルス感染症の流行を、血清疫学的調査あるいは検体採取により捉え、基礎医学の視点から解析を行う。感染症の予防や流行阻止に繋がるテーマを設定し、課題解決に有用な研究指導を行う。(健康科学:藤井教授)
実社会のヘルスケアに関する課題に対して、様々な学問分野の技術を自由な発想で応用し、課題解決につながるヘルスケアシステムの開発・構築に取り組む。開発研究における研究デザイン、アウトカムの利活用、多角的な評価など検討し、さらなる発展につながるよう研究指導を行う。(基礎看護学:前川教授)
精神看護の立場から精神障害当事者やその家族を支援するための地域ケアシステムにおける課題を、行政や多機関、多職種連携の実践から探索し、支援体制の現状に関するヒヤリングや多面的からの文献検討を行い、研究的に取り組むテーマを設定する。当事者やその家族の自立やリカバリーを促進することのできる看護方法を多角的に検討し、課題解決に有用な研究指導を行う。(精神看護学:渡邉教授)
在宅療養者とその家族のQOLの視点から、社会情勢を踏まえた上で、地域包括ケアシステムにおける行政のサポートシステムや支援体制の現状、エビデンスによる看護実践について多面的に文献検討を行う。在宅で療養者やその家族がその人らしく暮らすための課題を、そこで起こっている現象や看護方法、環境等の要因から検討し、課題解決に有用な研究指導を行う。(在宅看護学:松本教授)
 健康寿命の延伸を目指し,小児期からのヘルスプロモーションを推進するために,必要なエビデンスを構築するための研究を遂行する。理論的基盤として,ライフコースアプローチやDOHad学説などを理解し,疫学を主とした研究手法を活用して,社会的実装を可能とする研究成果を産出する。(地域看護学:芳我教授)
 糖尿病をはじめとした生活習慣病の発症・重症化予防のための看護ケア・ケアシステムの開発、健康行動を支援する自己管理用デバイス、アプリケーションソフトウェア、セルフモニタリング機器等のICTや先進的技術を看護へ活用するための研究を行う。独立した研究者として活動するための準備期間として、研究テーマの立案、問題解決のための研究計画、フィールド開拓を含めた臨床や他の研究者との協働など、研究遂行のための指導を行う。(基礎看護学:西村准教授)

研究指導の標準的スケジュール

《1 年次》
・入学時に研究指導教員を決定し、研究課題や履修モデルに基づいて履修科目を選択します。
・学生の研究課題に応じて、1年次 3 月末までに副指導教員を 1 名以上決定し、その後は研究指導教員と副指導教員が協働で指導にあたります。
《2 年次》
・前期に研究計画書を策定し、学内の中間発表会においてプレゼンテーションを行い、各分野の看護学専攻課程担当教員から助言を受けるとともに、医学部倫理委員会に申請します。
《3 年次》
・2 年次に引き続き学位論文にかかるデータの収集ならびに分析を進め、研究指導教員・副指導 教員の具体的な指導の下、学位論文の作成に取り組みます。
・研究成果を国内外の関連学術雑誌に投稿します。
・1 月に学位論文を提出し、学内において学位論文公開審査(論文審査・最終試験)を受けます。

教育方法の特色

*「大学院設置基準」第 2 条の 2 又は第 14 条による教育方法を実施します。
・長期履修制度を導入します。申請により長期履修制度の利用を得た学生は、修業年限を 4 年とすることができます。
・講義は特例措置の授業時間(18 時 30 分から 21 時 40 分まで)、もしくは土曜日に設定して実施します。
・研究指導は、研究指導教員と相談のうえ、夜間や土曜日等の特定の時間帯の利用、もしくは電子メール、インターネットを使ったオンライン通話の利用を含め、適切な方法を選択して進めていきます。

修了者への期待と就職先

健康寿命の延伸に関わる次世代のリーダーとして、保健・医療・福祉機関ならびに教育研究機関で活躍することを期待しています。就職先としては、大学教員、総合病院の看護管理者、保健師(管理職)、専門学校の管理者等が見込まれます。

取得できる学位、教員数、入学金・授業料

学位・修了要件 博士(看護学)
博士後期課程に 3 年以上在学し、所定の単位15単位以上を修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査及び最終試験に合格すること。
教員数
12人(教授10人、准教授1人、講師1人)
※2022年4月1日時点の予定数です。
入学金・授業料 入学料 282,000円
※令和4年3月に本学大学院博士前期課程、修士課程または専門職学位課程を修了し、引き続き博士後期課程または博士課程に入学する方及び国費外国人留学生は不要です。
授業料 前期267,900円  後期267,900円