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香川大学医学部開講50周年記念特定基金

この場所で輝く ~現場の声とメッセージ~
2025.10.14
香川大学医学部付属病院 救命救急センターICU
看護師 久本 清加さん

1.簡単な生い立ちなどを教えてください。(どこで生まれた、どんな学生だった、など)
香川県東かがわ市で生まれました(旧:大川郡大内町)。小さい頃は何でもすぐにやってみたくなって、いろいろな習い事をしていました。小中の頃は兄の影響もあり、得にスポーツ少年団でやっていた剣道に力を入れて取り組んでいました。頑張りたい気持ちとは裏腹、大きな声を出すのが苦手で、よく「声が小さい」「負けん気がたりん」と指導され、悔し泣きしながら竹刀を振っていました。小さな大会ではありましたが、優勝できた時にはとても嬉しく、継続して取り組むことが結果に繋がるということを剣道から学んだように思います。看護専門学校に入学してからは、あまり勉強が得意ではなかったのですが、先生や同じ夢を持つ友人に支えられ日々勉強や実習を頑張り、継続することができました。
 
2.普段どのような仕事をしていますか?
普段は看護師として、救命救急センターICUで勤務しています。入院患者さんの対応だけではなく、救急外来での救急車対応やドクターヘリ担当日にはフライトナースとして業務しています。三次救急を担う当院には、重症患者さんが多く来院されます。そのよう状況の中でも、患者さんだけではなく家族にもしっかり寄り添うことのできる看護師でありたいと考えています。切迫した状況の中、ニコニコ笑顔で対応できない状況でも、患者さんや家族の不安を少しでも取り除き安心を与えることができるか、日々奮闘しながら業務にあたっています。
 
3.なぜこの仕事を選びましたか?(偶然ですか?なりたかったですか?)
小さいころから病院で働く看護師に憧れがありました。4歳の頃、ふと母親に「看護師さんってかっこいいよな」と言うと、「じゃあなれば」と母親から言われたのがきっかけで、自分は将来看護師になるだろうと漠然と考えていました。中学2年生の頃、剣道で足を怪我し、初めて入院と手術をした時に看護師の方の優しさに励まされ、「自分も誰かの支えになれる看護師になりたい」と思い、強く決意しました。そんな些細なきっかけではありましたが、今、看護師として働けていることに、とてもやりがいを感じています。
 
4.救命救急センターICUや救急外来の勤務と、フライトナースの業務で違う点は何ですか?
救命救急センターICUや救急外来では、特に大学病院ということもあり、すぐに対応できる環境や医師・看護師の他、多職種の方がいます。そのため、自分だけで対応困難な患者さんや重症患者さんにもすぐに応援を呼び対応できる人、物、環境が整っています。しかし、フライトナースとして出動すると、最小で医師1名、看護師1名での対応が基本となります。使用できる物品も限られており、処置をするための十分なスペースもありません。そこが大きな違いだと考えます。そのような中で、地上で働くCS(コミュニケーションスペシャリスト)や救急外来医師、機長や整備士といったフライトクルー、現場で共に働く救急隊との連携がとても大切であり、重要であると思います。
 

5.フライトナースとして働くために必要なスキルや経験は?
フライトナースとして働く上で、迅速な判断力や実践力、専門的知識は大切であると思います。特に、香川県は全国でも最も面積が小さいため、出動要請が入って患者さんと接触するランデブーポイントまで、最長でも15分で到着します。また、患者さんに関する情報は、救急外来業務にあたっている時よりも限られた時間・情報からアセスメントし、優先順位を考えながらの対応が求められます。そのような中で、最も大切なのがコミュニケーション能力やチームワークだと考えます。ランデブーポイント到着までに、フライトクルーと治療や現場活動の方針を決め、役割分担を行います。また、現場には突然の事故や意識障害にとても不安を感じておられるご家族もいらっしゃいます。ご家族が少しでも安心できるように声を掛け、迅速に対応することも救急医療ではとても大切であると考えます。
 
6. 香川大学医学部の良いところを教えてください
研修などの教育体制が整っており、各部署でも勉強会などが行われています。看護スタッフの意識も高く、医療、看護の質向上を常に意識しているところです。
 
7.これからの香川大学に求めることを教えてください
就職してからも不安なことが沢山ありましたが、指導して下さるプリセプターナースに加え、オリーブナースもいて、精神面のサポートをしてくださる先輩が多くいたので安心して看護師の経験を積み重ねることができました。また、教育体制がしっかりしており、「何かに挑戦したい!」という気持ちを支えてくれる上司や先輩方が多くいたので、13年目を迎えた現在でも、たくさんのことにチャレンジすることができています。

※プリセプターナース:主に看護実践能力向上のサポートを行います。
※オリーブナース:新人の年齢に近い3年目ナースが、主に精神的サポートを行い、相談相手となります。  
<インタビューを終えて>
フライトナースとしての業務内容を知り、その緊張感の高さに圧倒されました。限られた時間と資源の中で迅速に判断し行動するだけでも大変なはずなのに、患者さんだけでなくその家族の不安を少しでも和らげようと声をかけたり安心感を提供する姿勢に、心から感銘を受けました。命に直結する状況であっても、人への思いやりを忘れず、チームと連携しながら最善を尽くす姿は、看護師の仕事の奥深さと責任の重さを改めて考えさせられるものでした。