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平成22−25年度文部科学省特別経費(プロジェクト分)大学の特性を」生かした多様な学術研究機能の充実
「香川グライコリソース(希少糖・ヒト型糖鎖)」を用いたナノ糖質生命科学研究推進事業

事業概要

目的・目標

 本学が世界に先駆けて研究を行っている特徴ある糖質関連資源である希少糖・ヒト型糖鎖を活用することにより,生体内での作用機構(免疫応答機構,ウィルス・細菌感染機構等)について分子レベルで解明することを中心に,医・農・薬・工学分野での応用につながる先導的・学際的研究を新たに展開します。


必要性・緊急性

 アレルギー反応・ウィルス(インフルエンザ)感染等,糖鎖認識現象は多くの疾患の発現機構と関わりを持ち,実社会に多大な影響を与えています。それらの予防・治療法開発に応用可能な分子レベルでの糖鎖認識機構の解明は,社会的に強く求められています。また,本事業を通した糖質生命科学を専門研究分野とする研究者の育成は,今後,日本の当該研究分野での国際競争力を優位に保つためにも,極めて重要です。


事業計画

以下の3つの研究プロジェクトを中心に行っていきます。

(1) 糖鎖が関与する免疫応答・細菌感染機構解明に関する研究
 糖鎖及びガレクチンが関与する免疫応答における作用機構を,糖鎖・タンパク質複合体のX線結晶解析による研究を中心に,分子レベルで解明します。ここで得られた基礎研究成果に基づき,強い生理活性を持つ変異ガレクチンの分子設計・合成を行い,診断薬開発に向けた応用研究へと展開します。糖鎖は,細菌やウィルス感染における細胞認識にも関与しています。細菌由来糖鎖結合タンパク質による標的細胞糖鎖の認識機構の解明は,感染防止に直接結びつきます。ウェルシュ菌は食中毒の原因細菌の一つであり,その毒性発現機構は,腸管上皮細胞上の糖鎖が関与していると考えられています。ウェルシュ菌由来の糖鎖結合タンパク質がどのような糖鎖に親和性が強いかを決定し,その感染・毒性発現機構を分子レベルで明らかにし,感染防止を目指したウェルシュ菌糖鎖結合タンパク質強親和性物質の分子設計・合成を目指します。

(2) 糖鎖及び糖鎖結合タンパク質を用いたバイオセンサの開発
 ヒト型糖鎖を固定相にチップ化したヒト型糖鎖ライブラリーチップを作成し,各種糖鎖認識タンパク質に対する親和特性を解析するバイオセンサシステムを構築します。糖鎖結合タンパク質(ガレクチン,ウェルシュ菌由来のもの等)に適用することにより,強親和性を持つ糖鎖の発見を目指します。

 (3) 希少糖基礎研究の新展開
 未だ合成できていない,あるいは合成が困難な希少糖について,一層の効率的な希少糖生産方法の確立を図り,全希少糖をグラムから数十グラムオーダーで完成させます。既存及び順次生産できた希少糖に関して,NMR測定,X線結晶解析等,物性解析データを蓄積し,希少糖物性解析データベースを構築・公開します。さらに,物性解析の結果に基づき,希少糖を原料とした新規希少オリゴ糖及び新規界面活性剤を合成し,生理活性・機能評価を行います。

バナースペース

香川大学学術室研究協力グループ

〒760−8521
香川県高松市幸町1−1

TEL 087-832-1317
FAX 087-832-1319