小児薬物療法検討会議 報告書案:アシクロビル

3.海外の承認状況及び文献情報等
  • (1)欧米4ヵ国の承認状況について

アシクロビル注射剤


効能・効果 米国 英国 ドイツ フランス
新生児単純ヘルペス感染症
10r/s
1日3回、10日間
10r/s
1日3回、10日間
10r/s
1日3回、10日間
新生児
20r/s 1日3回
免疫不全小児(HSV)
500r/u (≒20r/s注1)
1日3回 脳炎・髄膜炎(HSV)
500r/u (≒20r/s注1) 1日3回
それ以外 250r/u (≒10r/s注1) 1日3回
単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する下記感染症
免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した
単純疱疹 水痘・帯状疱疹
単純疱疹
12才未満:10r/s
12才以上:5r/s
1日3回、7日間
単純疱疹
3ヵ月〜12才:250r/u(≒10r/s注1)
1日3回
水痘・帯状疱疹
3ヵ月〜12才:500r/u(≒20r/s注1)
1日3回
単純疱疹 新
生児と3ヵ月までの乳児および12才以上:
5r/s
3ヵ月〜12才:250r/u(≒10r/s注1)
1日3回、5日間 水痘・帯状疱疹 新生児と3ヵ月までの乳児
および12才以上:
10r/s 3ヵ月〜12才:500r/u(≒20r/s注1)
1日3回、5日間
単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する下記感染症
脳炎・髄膜炎
水痘・帯状疱疹
12才未満:20r/s
12才以上:10r/s
1日3回、7日間
3ヵ月〜12才:500r/u(≒20r/s注1)
1日3回
新生児と3ヵ月までの乳児および12才以上:
10r/kg
3ヵ月〜12才:500r/u(≒20r/s注1)
1日3回、10日間

新生児単純ヘルペス感染症および日本で新たに最高用量を増やす効能・効果に対応する欧米4ヵ国の小児の用法・用量を記載した。
注1:体重約20kg時に250r/uは10r/sに、500r/uは20r/sに相当する。

 

アシクロビル経口剤

 

アシクロビル注射剤 現      行 変更予定(下線部変更)    
単純疱疹
-
免疫不全患者
2才未満:100r
2才以上:200r
1日5回、5日間
2才未満:100r 2才以上:200r 1日5回、5日間
6才以上 ・重度の皮膚もしくは粘膜感染:
200r1日5回、 5~10日間
骨髄移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
-
2才未満:200r
2才以上:400r
1日4回
投与期間:危険時期
2才未満:200r 2才以上:400r 1日4回 投与期間: 免疫抑制の程度、リスク持続期間による
6才以上:
200r 1日4回
投与期間:
免疫抑制状態にある期間
帯状疱疹
-
-
-
6才以上 ・
眼部合併症を防ぐための帯状疱疹の治療:
800mg 1日5回、7日間
水 痘
2才以上:20r/s
1日4回、5日間
40s以上:800r
1日4回、5日間
6才以上:800r
2才以上~5才以下:400r
2才未満:
200r 1日4回、5日間
-
-
性器ヘルペスの 再発抑制
-
-
-
6才以上:400r
1日2回

日本で新たに小児に追加する効能・効果(太線)および既承認の水痘に対応する欧米4ヵ国の小児の用法・用量を記載した

 

  • (2)無作為化比較試験、薬物動態試験等の公表論文としての報告状況

    1. アシクロビル注射剤

  • 1) 新生児単純ヘルペスウイルス感染症 PubMedで以下の検索式により検索し、27文献より重要な文献(2文献)を抽出した。
  • <Pub-Med検索式> 1. Acyclovir   2. Neonatal herpes simplex infection   3. 1 & 2 4. Limits 3. to (Humans) and (Clinical Trial)
  • 202人の新生児単純ヘルペス感染症に対して、アシクロビル注射剤30mg/kg/日(107人)とビダラビン30mg/kg/日(95人)の各々10日間投与のランダム化比較試験の結果が報告されている1)。1年までの致死率と後遺症率を検討したところ、致死率は、両群間で有意差が無く、後遺症率も両薬剤間で同等であった。両薬剤とも重篤な副作用はなかった。また、以前のアシクロビル注射剤の30mg/kg/日×10日間投与の結果と新たな60mg/kg/日×21日間投与の有効性・安全性を比較検討した報告2)では、全身型41例、中枢神経型28例を含む88例を対象とした非ランダム化試験で、16例に45mg/kg/日、72例に60mg/kg/日が投与された。全身型での致死率は以前の30mg/kg/日×10日間投与に比較して新たな60mg/kg/日×21日間投与で29%減少したが、中枢神経型では4%の減少にとどまっている。45mg/kg/日では、致死率において以前の投与量での結果と有意な差がなかった。この時の薬物動態は、45mg/kg/日11例と60mg/kg/日2例の合計13人において、半減期3.03±1.06時間、クリアランス4.42±1.57 mL/min/kgであった。
  • 国内では、症例報告として14論文14症例を収集でき3)〜16)、最近では、高用量(60mg/kg/日)の投与例も報告されている。14症例のうち全身型は6症例であった。全身型の3例に30mg/kg/日(×7、21、24日間)、1例に45mg/kg/日(初日のみ30mg/kg/日)が20日間投与されており、これらは全例治癒していた3)〜6)。2例には60mg/kg/日(×約10日間のち40mg/kg/日に減量、40日間)が投与され、投与期間中に好中球減少等の副作用を認めなかった。2例ともに1歳、1歳9ヶ月時点での精神運動発達は正常範囲内である。うち1例ではてんかんを生後3ヵ月に発症しているが抗痙攣剤にてコントロールは良好である。7),8)。中枢神経型は6症例で、30mg/kg/日(×14、16、21、21、32、37日間)が投与され、途中で45mg/kg/日に増量した症例(16日投与例が17日間追加投与)も含めて全例臨床上および画像上神経学的後遺症を残した9)〜14)。
  • 2) 小児 本邦の「ゾビラックス点滴静注用250」の添付文書で引用している臨床試験成績以外のACV注射剤に関する報告について、海外報告は米国国立衛生研究所(National Institutes of Health : NIH)のU.S. National Library of Medicineの文献データベース(Pub-Med)で、国内報告は医中誌で以下の検索式により検索した。
  • <Pub-Med検索式> 1. Aciclovir or Acyclovir   2. VZV or HSV   3. iv or intravenous   4. 1 & 2 & 3 5. Limits 4. to (all child (0-18) and clinical trial) <医中誌検索式> 1. アシクロビル  2. HSV or 単純疱疹ウイルス  3. 注射 or 点滴静注 4. 1 & 2 & 3   5. Limits 4. to 小児
  • ACV注射剤の投与回数は国内外で共通しており、1日3回(8時間おき)の点滴静注が行われている2, 17〜21)。1回当りの投与量は、海外では5〜15mg/kg/doseと幅広い用量が用いられているのに対し、本邦の臨床試験では現在の承認用法・用量である5mg/kg 1日3回(ただし、症状の改善が見られない場合はACV 10mg/kg 1日3回まで増量)が用いられている17), 18) 。また、本邦の用量で治療した場合、脳炎・髄膜炎に対しては十分な抗ウイルス効果が得られない場合があることが示唆されている2), 21)。
  • さらに、国外で「免疫機能の低下した小児HSV、VZV感染症」、「臓器移植患児におけるヘルペスウイルス科のウイルス感染症の発症抑制」あるいは「BMTにおけるCMV発症抑制」において、5 mg/kg 1日×3回よりも高い用量(最大20mg/kg/dose)が用いられ高用量における致死率の有意な低下が報告されるとともに、このような高曝露(CmaxおよびAUC)においても新生児を含む小児における安全性に大きな問題を生じていないことが示されている19), 20), 22)。
  • 2. アシクロビル経口剤

  • 同様にPub-Medおよび医中誌で以下の式により検索し、その内本報告書の主旨に沿う報告を選択した。また、本検索ではヒットしなかったが、添付文書で引用している薬物動態に関する報告についても本報告に含めた。
  • <Pub-Med検索式> 1. Aciclovir or Acyclovir          2. Herpes simplex or HSV or Varicella Zoster or VZV 3. Treatment or (PK or pharmacokinetics)  4. (oral or suspension) not (parenteral or inject) 5. 1 & 2 & 3 & 4              6. Limits 5. to (all child (0-18) and clinical trial) <医中誌検索式> 1. アシクロビル 2. 単純ヘルペス or 水痘・帯状疱疹 3. 小児  4. 1 & 2 & 3 & Limits 原著論文
  • 1) 単純疱疹 公表論文における小児HSV感染症に対するACV経口剤の1日投与回数は4または5回であり、海外では4回の報告が多く、国内では5回の報告が多かった23〜29)。また、1回当りの投与量は、海外では14mg/kg〜33mg/kgと比較的高用量が用いられ23〜25)、このときのPKデータ23), 25),および15mg/kg 1日5回投与時の有用性が報告されていた24)。本邦からの報告においては、1回当り6歳未満では100mg、6歳以上では200mgで1日5回投与と特定の年齢で切り分けた用法・用量が用いられ26〜29)、体重当りに換算すると約5〜10mg/kgに相当し、この投与量で90%以上の有効性が得られている26), 29)。
  • 2) 骨髄移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制 臓器移植患児におけるヘルペスウイルス科のウイルス感染症の発症抑制に関しては、その医療上の必要性の高さから小児を含む論文も含めると多数が存在し、その内本報告書の主旨に沿う報告を選択した。 1987年の本邦の報告では、成人の承認用法・用量に準じた経口ACV 200mg 1日3〜5回の投与が骨髄移植患児のHSVおよびVZVの発症抑制に有用であったとされている30)。一方、海外からの報告に、経口ACV製剤のみによる報告はなく、ACV 注射剤投与とそれに続く経口ACVまたはバラシクロビル(以下、VACV)による維持療法に切り替える投与方法による報告であった。これらの報告においては、維持療法における経口ACVの用法・用量はACV 800mg 1日2回が2報31), 32)、ACV 400mg1日4回33)が1報あり、用法・用量は統一されていなかった。しかし、これらすべての報告においてACV製剤による抑制療法の有用性が示されていた。
  • 3) 帯状疱疹 小児VZV感染症に対して経口ACV 24mg/kg 1日4回(1ヵ月齢未満では1日3回)と高用量を用いた報告では、3ヵ月齢以上ではACV濃度がVZVのIC50を上回る時間が12時間に満たず、さらに高用量(2倍)を投与すべきと考察している23)。また、小児の眼部帯状疱疹に対する報告では、ACV 注射剤 10mg/kg 1日3回での7〜10日間の投与に引き続き、VACV 1000 mg 1日3回または経口ACV 800mg 1日5回の投与によるフォローが推奨されている34)。
  • 4) 性器ヘルペス(GH)の再発抑制 15歳以下の小児を対象としたGH再発抑制療法の臨床試験は国内外ともに存在しない。しかし、米国ではPediatric and Adolescent Gynecology学会で取り上げられ、「青年期(14〜19歳)では発病(attack)率が最も高いため、初発性器ヘルペスを診断した際に、抑制療法の導入を考慮することを支持する」とされている35)。また、「公表された米国の青年期の男女を対象とした血清学的罹患率は、HSV-1で男性53.1%、女性49.4%、HSV-2では男性12%、女性15%であり、経口ACV (400 mg×2)、famciclovir (250 mg×2), またはVACV (500 mgまたは1000 mg×1)による抑制療法が推奨される」と報告されている36)。
  • 引用文献
    1. Whitley R et al. N Engl J Med 324: 444-449, 1991
    2. Kimberlin DW et al. Pediatrics 108(2): 230-8, 2001
    3. 吉井英樹ら. 小児感染免疫 12: 11-14, 2000
    4. 加藤丈典ら. 日本小児科学会雑誌 105: 592-595, 2001
    5. 立野佳子ら. 臨床小児医学 50: 83-85, 2002
    6. 辰巳貴美子ら. 日本周産期・新生児医学会雑誌 40: 571-576, 2004
    7. 宮田昌史ら. 日本未熟児新生児学会雑誌 20: 295-299, 2008
    8. 山田桂太郎ら. 日本未熟児新生児学会雑誌 19; 97-102, 2007
    9. 古池雄治ら. 周産期医学 28: 1391-1394, 1998
    10. 伊東亮助ら. 周産期医学 29: 131-133, 1999
    11. 山本和歌子ら. 日本未熟児新生児学会雑誌 15: 224-228, 2003
    12. 遠藤あゆみら. 日大医誌 63: 91-94, 2004
    13. 矢野潤ら. 感染症学雑誌 79: 230, 2005
    14. 吉澤弘行ら. 日本周産期・新生児医学会雑誌 41: 458, 2005
    15. 早川和代ら. 日本小児科学会雑誌 108: 782-785, 2004
    16. 畠野雅子ら. 済生会千里病医誌 15: 28-31, 2004
    17. 大阪小児白血病治療研究グループ(辻野儀一ら).小児科 25(3): 393-397, 1984
    18. 東京小児白血病治療共同研究委員会(西村昂三ら). 小児科診療46(7): 121-126, 1983
    19. Whitley RJ et al. J Infect. Dis. 165(Mar): 450-455, 1992
    20. Shepp DH et al. Transplantation. 43(5): 654-658, 1987
    21. 伊藤喜規ら. 小児感染免疫8(1): 29-33, 1996
    22. 山川陽子ら. 小児科臨床59(5): 959-963, 2006
    23. Tod M et al. Antimicro. Agents and Chemother. 45. 150-7, 2000 
    24. Amir J et al. BMJ 314. 1800-3, 1997
    25. Sullender WM et al. Antimicro. Agents and Chemothera. 31. 1722-26, 1987
    26. 増江道哉ら. 薬理と治療 19(7). 2957-65, 1991 
    27. 松岡伊津夫ら. 小児科臨床 43. 1253-64, 1990
    28. 野川孝之ら. 臨床とウイルス 16. 197-200, 1988
    29. 南谷幹夫ら. 小児科臨床 11. 3153-62, 1987
    30. 矢部みはるら. 臨床とウイルス15(3) : 397-401, 1987
    31. Shepp DH et al. New Eng. J Med. 23(Jan): 208-212, 1986
    32. Erard V et al. Blood 110(8): 3071-7, 2007
    33. Selby PJ et al. Br J Cancer. 59(3): 434-438, 1989
    34. Lau CH et al. Ophthalmology 114(4), 756-762, 2007
    35. Batalden K et al. J Pediatr Adolesc Gynecol. 20: 319-321, 2007
    36. Auslander BA. Semin Pediatr Infect Dis16: 24-30, 2005 
    • (3)Peer-reviewed journalの総説、メタ・アナリシス等の報告状況
    • レビューでは、ACV製剤については単純疱疹、免疫抑制状態(骨髄移植を含む)における単純ヘルペスウイルス感染症の治療・発症抑制、眼部帯状疱疹、免疫抑制下にある患児の帯状疱疹、性器ヘルペスの再発抑制のいずれの疾患(健康小児に発症した帯状疱疹を除く)に対しても有用性が示されている37〜42)。メタ・アナリシスで解析した論文はない。
    • 引用文献
      37. Wagstaff AL et al. Drugs, 47(1), 153-205. 1994  
      38. Enright AM et al. Herpes 10(2) 32-37. 2003
      39. Jones CA et al. Current Paediatrics 14: 131−136, 2004
      40. Tyring SK et al. J Infct. Dis. 186(suppl 1); S40-6, 2002
      41. 大橋正博ら. 小児科45(4) : 527-530, 2004   
      42. 小野文武. MB Derma 135 : 31-38, 2006
    • (4)教科書等への標準的治療としての記載状況
    • ACVに関連する記載のみ抜粋

    疾患 Nelson Textbook of Pediatrics 18th edition Oski’s pediatrics : Principles and practice 4th edition Current pediatric diagnosis & treatment 17th edition Principles and Practice of Pediatric Oncology 5th edition
    単純疱疹
    ヘルペス性歯肉口内炎 ACV経口15mg/kg×5回 7日間 初発性器ヘルペスの治療と同じ。 ACV経口の投与量は80mg/kg/日を超えないこと(15mg/kg×5回)。 ACV経口 10mg/kg×4回 5〜7日間 -
    口唇ヘルペス ACV経口200〜400mg×5回 5日間(青年期) - - -
    カポジ水痘様発疹症 ACV経口200mg×5回 5日間 - 主要な適応として記載あり -
    初発の性器ヘルペスの治療 ACV経口400mg×3回 7〜10日間(青年期) 10〜20mg/kg×4回を考慮(低年齢) ACV経口200mg×5回 7〜10日間* 400mg×3回 10日間 40〜80mg/kg/日を分3〜4 5〜10日間(小児) 主要な適応として記載あり -
    再発の性器ヘルペスの治療 ACV経口800mg×3回 2日間(青年期) ACV経口200mg×5回 5日間 400mg×3回 5日間* 800mg×2回 5日間* - -
    免疫低下児における重症の皮膚粘膜および播種性HSV感染症 ACV注射5〜10mg/kg×3回 250mg/m2×3回 ACV注射5〜10mg/kg×3回 ACV経口200mg×3〜5回(80mg/kg/日を超えないこと。) ACV注射500mg/m2×3回 ACV注射250mg/m2 あるいは5mg/kgを8時間毎
    骨髄移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
    HSV抗体陽性のBMT施行患者に対する発症予防 - 発症予防効果ありと記載あり - 予防的に使用される旨の記載あり
    帯状疱疹
    免疫低下児におけるハイリスクの帯状疱疹 ACV注射500mg/m2×3回 10mg/kg×3回 - ACV注射10mg/kg×3回 500mg/m2×3回 ACV注射500mg/m2 あるいは10mg/kgを8時間毎
    性器ヘルペスの再発抑制
    性器ヘルペスの再発抑制療法 ACV経口400mg×2回 ACV経口200mg×3〜5回 400mg×2〜3回 5年間まで* - -
    水痘
    免疫機能正常児の水痘 - ACV経口20mg/kg×4回 800mg×4回(体重40kg以上の場合) ACV経口20mg/kg×4回 -
    ハイリスク児の水痘 ACV注射500mg/m2×3回 10mg/kg×3回 ACV注射500mg/m2×3回 7日間 ACV注射10mg/kg×3回 500mg/m2×3回 ACV注射500mg/m2 あるいは10mg/kgを8時間毎
    単純ヘルペス性脳炎
    単純ヘルペス性脳炎 ACV注射10mg/kg×3回 14〜21日間 ACV注射10mg/kg×3回 21日間 ACV注射 500mg/m2×3回 21日間 -

    日本で新たに小児に追加する効能・効果(太線)および既承認の水痘に対応する欧米4ヵ国の小児の用法・用量を記載した

    新生児に関しては、一部新生児に関する教科書の記載があるため、別途下表にまとめる。

    疾患 Nelson Textbook of Pediatrics 18th edition Oski’s pediatrics : Principles and practice 4th edition Current pediatric diagnosis & treatment 17th edition Neonatology 5th edition Avery Disease of the Newborn 8th edition Pediatric Dosage Handbook 11th
    新生児ヘルペス
    新生児ヘルペス ACV注射20mg/kg×3回 表在型 14日間 全身型・中枢神経型 21日間 ACV注射20mg/kg×3回  14〜21日間 ACV注射20mg/kg×3回 21日間 表在型の場合 14日間 ACV注射10mg/kg×3回 在胎30週未満or軽度腎機能低下:10mg/kg×2回 腎機能とCr値1.2より大きい:10mg/kg×1回 ACV注射 全身型・中枢神経型 20mg/kg×3回 表在型 15mg/kg×3回 ACV注射 未熟児:10mg/kg×2回 14〜21日間 新生児:500mg/m2×3回 または10mg/kg×3回 14〜21日間
  • (5)学会又は組織・機構の診療ガイドラインへの記載状況 
  • ACVに関連する記載のみ抜粋
  • 疾患 Red Book 2006 Guidelines for Preventing Opportunistic Infections Among Hematopoietic Stem Cell Transplant Recipients 2000 ヘルペス脳炎のガイドライン 日本神経感染症学会 2005
    単純疱疹
    初発の性器ヘルペス ACV経口1000〜1200mg/日 分3〜5 7〜10日間(12Y≦) 40〜80mg/kg/日 分3〜4 5〜10日間(小児) ACV注射5mg/kg×3 5〜7日間(12Y≦) - -
    再発の性器ヘルペス ACV経口1000〜1200mg/日 分3 3〜5日間(12Y≦) - -
    免疫低下児におけるHSV感染症 ACV注射10mg/kg×3回 7〜14日間(<12Y) 5mg/kg×3回 7〜14日間(12Y≦) ACV経口1000mg 分3〜5 7〜14日間(2Y≦) - -
    骨髄移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
    免疫低下児におけるHSV感染症の発症予防 ACV経口600〜1000mg/日 分3〜5(2Y≦) ACV注射5mg/kg×3回(HSV抗体陽性) HSCT施行時 第一選択ACV注射250mg/m2×3回 125mg/m2×4回 代替ACV経口600〜1000mg/日 分3〜5 いずれも前処置開始から生着あるいは口内炎が治癒するまで投与する。(すなわちHSCT後30日くらいまで) -
    帯状疱疹
    帯状疱疹 ACV注射500mg/m2×3回 7〜10日間 10mg×3回 7〜10日間 ACV経口800mg×5回 5〜7日間(12Y≦) - -
    免疫低下児における帯状疱疹 ACV注射20mg/kg×3回 7〜10日間(<12Y) 10mg×3回 7〜10日間(12Y≦) - -
    性器ヘルペスの再発抑制
    性器ヘルペスあるいは皮膚粘膜のHSV感染症の再発抑制療法 ACV経口400〜600mg×2回(12Y≦) - -
    水痘
    水痘 ACV経口20mg/kg×4回 5日間(2Y≦) ACV注射10mg/kg×3回 7〜10日間(2Y≦)      500mg/m2×3回 7〜10日間(2Y≦) - -
    免疫低下児における水痘 ACV注射10mg/kg×3回 7〜10日間 500mg/m2×3回 7〜10日間(1Y≦) - -
    単純ヘルペス性脳炎
    単純ヘルペス性脳炎 ACV注射20mg/kg×3回 14〜21日間(3M〜12Y) 10mg/kg×3回 14〜21日間(12Y≦) - ACV注射10mg/kg×3回 14日間 (重症例)15mg/kg*×3回 21日間 ACV不応例ではビダラビン使用も考慮
    新生児ヘルペス
    新生児ヘルペス ACV注射20mg/kg×3回 14〜21日間(<3M) - ACV注射10〜20mg/kg*×3回 21日間

    *アシクロビルの1日薬用量を超えるため、インフォームドコンセントに留意し、家族/患者の同意を得られたときに増量する。

     


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