認知症とは?

人口の高齢化とともに認知症を持つ人の数は増加し、全国で約462万人に上ると推計されています。
また認知症発症の一歩手前の状態である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人に上ると推計されています。
実に65歳以上の4人に1人が認知症または認知症一歩手前の状態ということになります。
認知症高齢者の数は今後も増えていくものと見込まれています。

「認知症はなおらない病気」というイメージがありますが、早期に診断・治療を受けることにより、疾患によっては薬で進行を遅らせることができます。現在、認知症の進行を遅らせる薬が4種類あります。
また、認知症と思っていたら、実際は別の病気であったということがあります。
うつ病、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症といった病気で認知症のような症状がでることがあり、これらは適切な治療で回復する可能性があります。
何の病気にも当てはまることですが、早期発見・早期治療が大切です。

アルツハイマー型認知症:認知症の約6割を占める、もっとも頻度の高い認知症です。
物忘れが主症状で、徐々に進行していきます。10分前のことも覚えていない、同じことを何回も聞くなど、加齢によるもの忘れとはその質が違います。
病気であるという自覚が持ちにくく、もの忘れを取り繕う態度をとることが多く見られます。物を盗られたという妄想がしばしば見られます。

血管性認知症:アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。
主に、大脳の白質という神経の連絡線維の通っているところが、動脈硬化などによる血流不足によってダメージを受けて生じます。
考えるスピードが遅くなったり、意欲や注意力が低下するなどの症状が現れます。
麻痺や歩行障害、抑うつなどを伴うことがしばしばあります。

レビー小体型認知症:3番目に多い認知症です。
初期にはあまり物忘れは見られません。
幻が見える幻視、時間帯や日によって症状に変動すること、手足の筋肉が硬くなって動きにくくなるパーキンソン症状が3大症状です。
その他にも様々な症状があり、自律神経障害、抑うつ、レム睡眠行動障害、転倒、失神などを伴うことがしばしばあります。

前頭側頭葉変性症:初老期(40~60歳)に多い認知症です。
他人の迷惑を省みない行動、同じような動作の繰り返し、無関心、言語の障害などの症状があります。
初期にはもの忘れはあまり見られません。

以上のような症状がでてきたら、早い時期に医療機関を受診したり、相談窓口に相談することをお勧めします。

  加齢によるもの忘れ 認知症
忘れる範囲 体験の一部(例)昨日の晩御飯のメニュー 体験の全体(例)昨日晩御飯を食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
ヒントを与えられると 思い出せる 思い出せない
探し物に対して 自分で見つけようとする 誰かに盗られたなどと、人のせいにする
時間や場所の認識 正しい 正しくない
日常生活への支障 ない ある