【 担当教員 】

 
教  授

准 教 授

助  教



非常勤講師


中村 隆範

西  望(香川大学研究推進機構)

小川 崇

野中 康宏

宮本 薫(福井大学  教授)

東海林 博樹(金沢医科大学 准教授)
 

【 授業概要 】
 
 元来、ホルモンとは生体を調節、統御する生体内で生合成される微量成分であり、それぞれ特定の腺細胞から分泌された血流によって運ばれて、標的細胞の特異的な受容体と結合しその情報を細胞内に伝える有機物質と定義されていた(古典的ホルモン)。
しかし、今日、古典的ホルモンに加えて細胞増殖因子、サイトカインなど必ずしも特定の分泌腺を作らない細胞から生合成されたり、血流を介さないで標的細胞に運ばれる多くの生理活性物質が、広義のホルモンとして扱われる様になってきた。こうした広義のホルモンの情報が外界から細胞内へ効率的に伝えられるために、標的細胞はその細胞膜(細胞表層)あるいは細胞内(核内)にホルモン分子を捕獲する受容体やその受容体を介して情報が細胞質の分子を通したり、直接核内の特定の遺伝子発現調節に関わるような細胞内情報伝達経路を備えている。その結果、ホルモンは標的細胞でのみ選択的に遺伝子発現、細胞膜の興奮、酸素活性などを調節しながら、自律神経系とともに生体の恒常性の維持に役立っている。近年の生化学や分子生物学の進歩は、数多くの微量ホルモンの精製純化を可能にし、その化学構造や遺伝子構造をも明らかにしている。また、免疫学の進歩とともに抗原抗体反応を利用した高感度ホルモン測定法が確立して、体液、組織内の微量ホルモン濃度の測定が可能になった。このような分析技術の進歩や知識の集積によって、ホルモンの生合成と分泌から血液中の存在状態および標的組織における生理作用まで、その全体像が分子レベルで明らかになりつつある。また、生物個体の発生や成長、生殖から恒常性の維持などに以上をもたらす疾患の多くが、ホルモン作用に関わる情報伝達分子の遺伝子異常(変異)によることが明らかにされている。これらの研究の成果は、糖尿病、バセドウ病などの内分泌疾患のみならず、心臓病、高血圧、癌など各種疾患の病態の理解やその診断、治療に応用されている。本授業では、生化学、細胞生物学、分子生物学などの基礎学問が内分泌学にどのように生かされてきたか概説しながら現在確立されている内分泌学の基礎知識と今後の展望について講義する。


【 一般目標 】

 内分泌疾患の多くが、各種ホルモン(生理活性物質)の生体内情報伝達系における異常や自己免疫疾患の結果として捉えられることから、各種ホルモンの生理機能や作用機序を理解すると共に、疾患発症の物質(分子)レベルでの理解と治療方針を理解するための基礎知識を習得する。


【 行動目標 】

1. 内分泌及びホルモンの概念を説明する。

2. 内分泌臓器とホルモンの名称を英語と日本語で正しく記述する。

3. ホルモンの生合成部位と化学構造、生理作用を関連付けて説明する。

4. ホルモンの作用機序(標的臓器、受容体、細胞内情報伝達、効果の発現)を述べる。

5. 内分泌疾患とホルモンの遺伝子異常分泌調節,代謝経路などを関連付けて説明する。

6. ホルモンの定量法を説明し、定性、定量的に測定する。

7. 一般的なタンパク質、核酸を解析するとともに、ホルモン作用による遺伝子発現、 タンパク質生合成の調節機構の具体例を述べる。
 

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