香川大学医学部附属病院 脳卒中・心臓病等総合支援センター

家族性高コレステロール血症(FH)

家族性高コレステロール血症(FH)

家族性高コレステロール血症(FH)は、生まれたときからLDL-Cコレステロールの値が高値となる疾患で、およそ300人に1人の割合で見られます。
FHの患者は、一般の人に比べて心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症率が10~20倍以上高いことが知られています。しかし、早期に診断し、適切な治療を開始することで、心筋梗塞のリスクを大幅に低下させることが可能です。
そのため、近年では小児期からの診断と治療の取り組みが世界的に進められています。

香川県では、「香川県小児生活習慣病健診」を起点として、行政、医師会、教育機関が協力して県全体での「小児FHユニバーサルスクリーニング」が実施されています。
このスクリーニングは、小児期で診断することで、動脈硬化が進行する前に治療を開始するモデルケースとして注目されています。

FHは常染色体顕性遺伝(優性遺伝)による疾患であり、子供がFHと診断された場合、理論的には両親のいずれかがFHであることがわかります。
このように、子供のFH診断をきっかけに親のFHも診断されることを「リバースカスケードスクリーニング」と呼びます。
こうして、親が冠動脈疾患を発症する前に診断され、LDLコレステロールの治療目標値を適切に設定し効果的な治療を開始することができます。

このようにして「FHから親子を守る」ことが可能な香川県のモデルですが、最近では親子を同じ医療機関で診療を行う取り組みも始まっています。この取り組みは、親の治療継続を促進すると同時に、子どもの移行期医療を円滑に進める可能性が示唆されています。これら一連の仕組みは「香川モデル」と総称されます。

このページには「香川モデル」に関する資料やリンクが掲載されています。
必要に応じてダウンロードし、疾患啓発の促進にお役立てください。
不明な点がございましたら、当院 脳卒中・心臓病等総合支援センターにご連絡ください。

資料1:リバースカスケードによるFH疑い症例への対応例の図
家族性高コレステロール血症
日本動脈硬化学会HP「家族性高コレステロール血症について」