修士課程の特色

香川大学大学院 医学系研究科 (修士課程)の特色

本学大学院医学系研究科看護学専攻(修士課程)は、生命と人間の尊重を基盤とし、保健医療、福祉及び社会の諸変化に柔軟に対応できる人材を育成することを 目的としています。具体的には人々のQOL(Quarity of Life)の向上を重視した科学的、実践的な課題解決ができる能力を有し、グローバルな視野で看護学の発展と人々の健康に寄与する研究を遂行できる人材の育成を目指します。

基礎看護学分野

看護医科学、基礎看護学の領域について教育を行います。最今、Evidence-based Nursing(EBN)が提唱され、看護の知識や技術に関する科学的な実証が不可欠となっています。基礎看護分野ではEBNの実践に必要な知識や技術の習得を目指します。

○看護医科学領域

看護医科学においては、看護や介護における医学的な疑問点を、科学的に探求し、その原因や解決法を見いだすための研究を行います。具体的にはアンケート調査や実験研究を中心とした講義、演習、研究を行います。

○基礎看護学領域

基礎看護学は、人間・環境・健康とのかかわりの中で看護を科学的に探究するとともに看護に関する問題を検証し、課題の明確化を行います。さらに、対象の安全性と安楽性を科学的に実証した看護技術の実践への活用方法について理解を深めます。

基礎看護学演習及び特別研究は、演習、研究を行います。

 

臨床看護学分野

急性期成人看護学、慢性期成人看護学、小児看護学、母性看護学及び老年看護学の領域について教育を行います。学部教育で得られた知識、技術及び深い倫理感を持って、さらに複雑な患者の状態、患者を取り巻く環境を客観的に分析、検討し、倫理と実践の関係を学習します。

○急性期成人看護学領域

急性期成人看護学では健康危機の状況下におかれた対象者に適切な看護支援を提供するための基本となる知識・技術・態度について学びます。また、健康危機の状況下から回復過程にある対象者にはリハビリテーションを促進するための根拠に基づいた対象理解と看護実践を探求します。

○慢性期成人看護学領域

慢性期成人看護学では、行動科学理論の基礎となる認知と行動の発達を学習し、成人の日常生活における人間らしさを科学的に理解します。また、慢性疾患療養過程の不確かさやその過程を軌跡としてとらえ、よりよい看護のあり方と方法を探求します。

これらのプロセスを通して、慢性期成人看護学領域の課題解決の方法と研究入門者としてのマナーや思考力を身につけられるよう支援します。

○小児看護学領域

現代社会における小児と家族の問題について、医療、保健、福祉、教育などの側面から関連する学問分野の諸理論と看護への活用方法を学びます。さらに小児保健、母子保健などの観点から小児看護を検討します。また、小児と家族に関する国内外の文献および研究論文をクリティークし、各自の研究課題を通して臨床での問題を解決し、看護実践の体系化、理論化を進め、研究能力と高度な臨床実践能力を養います。

○母性看護学領域

生涯を通じた女性のリプロダクティブヘルス/ライツの視座から、生理的、心理・社会的な健康問題や課題を、PBL形式で、女性のwell-beingを考慮して研究を進めます。看護臨床から、大学院生各自の研究課題を理論と照らし、研究を構築してケアの本質を探究し評価します。その知見から、看護の新しい臨床ケアに反映させて、子どもを産み育てるWomens Health Nursingの発展に寄与します。

○老年看護学領域

老年看護学の領域で看護実践において、対象自身の生活および生命の質が重要な問題となっています。対象の看護を行う上で必要な理論や実践について学習します。さらに、老年看護の対象が、疾患や障害の発症を人生の中の転機として捉え、それを自らの人生の中で意味づけ、全体的な存在として機能し、発達するための援助について探求します。

 

地域看護学分野

精神看護学、在宅看護学、地域看護学の領域について教育を行います。「病院完結型」から「地域完結型」医療への変化・対応が求められる昨今、住民の健康づくりや、病気と共存しながらQOLの維持・向上を目指し、住み慣れた地域や住まいでの生活を支える専門的知識を学修し、研究および実践のあり方を探求します。

精神看護学領域

精神の健康障害をもつ人への地域リハビリテーションや生活を支えるケア体制の充実が求められています。当事者を含む家族看護アプローチ、多職種連携によるケアシステムについて、既存理論の学修及び文献検討を通じて、各自のテーマを研究的に解決するための研究遂行力を養い、これからの時代を志向した精神看護学を探究します。

○在宅看護学領域

在宅看護学に関連する理論モデルを学習し、在宅で暮らしている人々がより良い健康を保ち、その人らしい生活を送ることができるよう支援する能力を養います。在宅看護に関する諸制度と在宅ケアシステムを理解し、多様な職種と共に在宅療養者を支援するために、効果的な看護を探求します。講義や演習を通して、在宅看護に関する研究課題を見出し、研究計画を立て、自身の研究課題に沿った研究過程を体験します。

地域看護学領域

地域で生活するあらゆる人々の健康増進と疾患予防をめざす公衆衛生看護活動が効果的に実施できるよう、多様な理論を学びます。また、変化する時代背景と住民の健康課題、それらに対応する行政施策についても理解を深めます。

さらに、各自の研究課題への取り組みを通して、公衆衛生看護の研究および実践能力を養います。