香川大学医学部 脳神経外科香川大学医学部 脳神経外科

メニュー
閉じる

特色:遺伝子耐性・テーラーメイド化学療法

当教室の特色

悪性脳腫瘍に対する抗がん剤治療における薬剤耐性遺伝子解析

「悪性脳腫瘍に対する抗がん剤治療における薬剤耐性遺伝子解析」が、高度先進医療として承認されており実施可能となっています。設定コストは、約3万円としています。

今まで多くの場合、悪性脳腫瘍(悪性グリオーマ)に対する抗がん剤化学療法は、画一的に同じ組み合わせで行なわれていますが、抗がん剤に対する感受性は個々の腫瘍によってそれぞれ異なり、また、同一患者様においてもステージによっても感受性は異なっています。

この高度先進医療は、手術中に得られた脳腫瘍組織からRNAを抽出し、RT-PCR法により抗がん剤耐性遺伝子の発現量を測定します。その結果にもとづき、より感受性のあるとも思われる抗がん剤を選択することにより高い効果を得、また、感受性の少ないと思われる抗がん剤を使用しないことにより不必要な副作用を避けていこうというものです。個々の患者様にあった治療、いわゆる‘テーラーメイド治療’であります。個人情報の管理を厳重にし、患者様には十分に説明し理解していただき、悪性脳腫瘍の治療成績向上を目指して行きたいと思っています。

薬剤耐性遺伝子解析に基づく化学療法による治療の実際

治療前

造影される部分(淡く白くなっている部分)が悪性脳腫瘍が存在している部位です。

MRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)を用い、腫瘍の性状を知ることが出来ます。
腫瘍の存在と神経組織の減少を反映して、Choピークが増加しNAAピークが低下しています。

正常脳でのMRSのパターンです。

手術により摘出

遺伝子名 耐性があると考えられる薬剤
MDR-1 vincristine
MXR mitoxanthrone
MRP-1 VP-16
MRP-2 VP-16, cisplatin
TOPO II VP-16
MGMT ACNU
GST-π cisplatin

手術により摘出した組織から、腫瘍の持つ性質つまりどの薬剤が効果があるかを検索することができます。主に右表のような薬剤耐性遺伝子の発現を、分子生物学的手法(RT-PCR ; Reverse Transcription - Polymerase Chain Reaction 法)を用いて検索します。
これらの遺伝子の発現を調べ、より感受性のある(より効果がある)とも思われる抗がん剤を選択します。また、感受性の少ない(投与しても効果が少ない)と思われる抗がん剤の使用を避けることで、患者様への悪影響を最低限にすることができます。

放射線治療+化学療法 1クール

淡く造影剤による増強効果が残ります。
(強く増強されている部分は手術後の変化です)。

化学療法後のMRSパターン(左)および対照(非腫瘍)部のパターン(右)を比較し、MRSの示すピークの変化により、化学療法の効果を評価できます。

化学療法 4クール終了後

造影効果はほぼ焼失しました。

化学療法後のMRSの示すパターン(左)が正常脳のパターン(右)に近づき、化学療法が効果的であったことを示しています。

脳腫瘍における薬剤耐性遺伝子の研究

多くの薬剤に同時に耐性になる多剤耐性株遺伝子としてMDR1、MRPなどが解析されている。一方、固形癌の抗癌剤治療においても有効性が認められているミトキサントロンに対する耐性遺伝子はまだ報告されていなかった。我々は今まで報告のない新たなABCトランスポータをミトキサントロン耐性株より分離、同定した。

S1細胞株にミトキサントロンを作用させ得たS1-M1-80細胞株よりcDNA ライブラリーを作成した。このcDNAライブラリーからdifferential screening法により、親株より耐性株で多く発現している遺伝子を分離し、MXR1と名付けた。

MXR1は第4染色体長腕21-22に存在し、gene bank dataによりABCトランスポータの一つであることが判明した。また、ミトキサントロンの耐性度が増すにつれMXR1のmRNAおよび蛋白の発現量が増加した。以上より、ミトキサントロン耐性株において新ABCトランスポータであるMXR1を同定した。ミトキサントロンに対する耐性度に相関してMXR1の発現量の増加が認められ、MXR1はミトキサントロン耐性に重要な役割を果たしていると思われた。

ページ
トップへ