教室のあゆみ

第1代 大本尭史 教授(1983~1991年)

第1代 大本尭史 教授

私共の教室は、1983年4月に香川医科大学脳神経外科学講座として開設されました。開設当時の教室員は5人(大本堯史教授、田淵和雄助教授、植田清隆講師、吉岡純二助手、藤原敬助手)であり、脳腫瘍、脳血管障害、不随意運動に対する手術を中心に診療が行われました。1986年4月には本学第1期卒業生が入局し、専門医取得に向けた教育が始まるとともに、大学院における研究体制も整いました。これにより、開講5年後には、脳血管攣縮、脳移植、不随意運動症、脳浮腫、脳腫脹、頭蓋内圧亢進、脳腫瘍の生物学的、生化学的研究等多くのテーマで研究が進められ、現在の研究室の基盤が完成しました。
1986年9月、田淵和雄助教授が佐賀医科大学脳神経外科教授に転任され、長尾省吾先生が岡山大学医学部脳神経外科から助教授として赴任されました。大本堯史教授は、1991年4月より岡山大学医学部脳神経外科教授に転任されました。

第2代 長尾省吾 教授(1991~2006年)

第2代 長尾省吾 教授

1991年7月、長尾省吾助教授が教授に就任されました。長尾省吾教授は、大本教授に引き続いて、教育、臨床、研究のすべての領域に全力で指導にあたられました。臨床では、ナビゲーションシステムを用いた頭蓋底手術を積極的に行い、超低体温心臓停止下において巨大脳動脈瘤の手術を成功させました。1997年には、本学で始めての脳動脈瘤コイル塞栓術を行い、現在の血管内手術隆盛の基礎となりました。2002年にPETが本学に導入され、脳腫瘍、脳循環における診断、病態把握の精度を高めました。脳腫瘍においては、悪性脳腫瘍における薬剤耐性遺伝子診断に基づいたテーラーメイド化学療法を開始しました。これは、2004年に高度先進医療として認可されました。頭部外傷、脳血管障害に対して低体温療法を開始し、2005年には第8回日本脳低温療法研究会を開催しました。研究では、脳浮腫、脳腫脹などの頭蓋内圧の研究、脳虚血や低体温における脳循環代謝の研究をはじめ、脳血管攣縮の研究、血管内治療の研究、脳神経疾患に対する神経幹細胞治療の研究、脳腫瘍に対する分子生物学的研究及び遺伝子治療などを発展させ、大きな成果を得ました。
2003年10月より、香川医科大学医学部脳神経外科学講座から香川大学医学部脳神経外科学講座に移行しました。2003年10月より長尾教授が香川大学医学部附属病院長に就任し、2006年8月に病院長専任となり、2008年3月に退任し、名誉教授となられました。

第3代 田宮隆 教授(2007年~2021年)

第3代 田宮隆 教授

2007年7月、田宮隆准教授が第3代脳神経外科教授に就任されました。大本教授、長尾教授が、長年にわたり培われてきた本講座の歴史と伝統を踏襲し、更なる発展に向けて、診療、研究、教育に取り組んでいます。
手術用顕微鏡やナビゲーションシステムの全面バージョンアップ、神経内視鏡手術の導入などの手術をより安全により低侵襲に行うための診療面の充実が図られました。脳腫瘍分野においては、標準的な治療法は勿論のこと、臨床試験への積極的に参加や当教室の特色の一つであるPETを手術に生かす試みなども行われました。脳血管障害においては、PETを用いた脳循環評価を積極的に行い、個々の患者様により適した治療法を提供しました。コイル支援用ステントや液体塞栓物質などの新しい機器の導入も積極的に行い、常に最新の医療を目指しました。2018年にはフローダイバーターステントの導入も行われ、今後の血管内治療の進歩の礎を築きました。研究においては、PETによる分子イメージング、頭部外傷と脳保護、腫瘍に対する薬剤耐性遺伝子や抗体治療、希少糖の抗腫瘍効果など、幅広い分野において研究を発展させ、世界へ発信されました。中国の提携大学からの留学生も継続的に受け入れ、国際交流にも力を注がれました。主催学会に関しては、日本脳腫瘍学会、日本脳腫瘍病理学会、日本頭部外傷学会、日本意識障害学会、日本脳神経モニタリング学会、日本微小脳神経外科研究会など、数々の全国規模の学会を主催されました。多くの参加者をここ香川へお迎えし、時にはうどんツアーなどの「おもてなし」も開催して非常に好評でした。
2019年10月より田宮教授が香川大学医学部附属病院長に就任されました。時同じくして、COVID-19という未知のウイルス感染症が世界的に流行しましたが、患者様や医療従事者を守り、病院機能を維持するべく奔走され、リーダーシップを発揮されました。2021年3月に教授職は退官されましたが、同9月まで附属病院病院長として我々を力強く牽引されました。

第4代 三宅啓介 教授(2021年4月~)

第4代 三宅啓介 教授

2021年4月、三宅啓介准教授が第4代脳神経外科教授に就任されました。開講以来30年余りの長きにわたり受け継がれてきた伝統に満足することなく、診療、研究、教育に取り組んでいます。

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