香川大学医学部 脳神経外科香川大学医学部 脳神経外科

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脳圧・脳循環

当教室が長きにわたり、研究しているテーマです。実験的脳浮腫の治療、局所脳虚血時および低体温時の脳循環代謝に関する研究を行い、脳保護への臨床応用の可能性を検討しております。

我々は、重症脳損傷(脳外傷、脳血管障害)患者に対し、医学部附属病院救命救急センターと協力して積極的な脳保護療法を中心とした神経集中治療を行ってきました。強力な脳保護療法として有名な脳低温療法は、全身の体温を32~34℃まで低下させ、脳の代謝を下げることにより脳保護を行うもので、我々は1990年台の後半から種々の重症脳損傷患者に施行してきました。我々の脳低温療法の経験数は、わが国で5本の指に入ると思います。しかし2001年に英国の有名な雑誌New England Journal of Medicine (Lack of effect of induction of hypothermia after acute brain injury. GL Clifton et al, N Eng J Med. 344(8): 556-563, 2001) でその有効性が証明されなかったことから適応症例数は減少傾向にあります。しかし現在でも我々は、豊富な経験を生かし若年者の重症脳外傷や一部のくも膜下出血患者に対し軽度脳低温療法(34~35℃)や積極的平温療法を行っており、救命だけでなく神経学的機能の改善に努めています。
また我々は重症脳損傷患者に対し、積極的な脳モニタリングを行っています。脳モニタリングとは、脳の状態を外から知ろうとするもので、特に重症脳損傷患者では意識が無いことも多く、神経診察だけでは行っている治療が脳保護に有効に作用しているか否かを知ることができません。そこで頭蓋内に脳圧センサーを留置して、実際の脳圧を測定し、時期を逸しない脳保護治療を行っております。

頭部外傷や脳血管障害による重症脳損傷に対する脳保護を研究してきました。主に上記の臨床研究と並行して、種々の脳損傷モデルをラットで作成し、脳低温療法が神経保護効果を有することを明らかにし、その研究成果を多数の英文誌へ報告して世界へ発信しています。
Stroke 31: 1982-1989, 2000(局所脳虚血再灌流モデル)
J Neurotrauma 17: 193-202, 2000(急性硬膜下モデル)
J Neurotrauma 19: 741-751, 2002(急性硬膜下モデル)
Brain Res 895: 50-58, 2001(脳内出血モデル)
J Stroke Cerebrovas Dis 17: 187-195, 2008(脳内出血モデル)

また、頭部外傷や脳血管障害に伴う脳浮腫は、タンパク分解酵素のmatrix metalloproteinaseが血液脳関門を破綻することで発症することを発見し、その阻害薬が脳浮腫を軽減することも報告しています。
J Neurotrauma 20: 649-657, 2003
J Stroke Cerebrovas Dis 15: 88-95, 2006

さらに、近年では香川大学が世界の研究をリードし注目されている希少糖、特にD-alloseの脳保護効果についても、ラットを用いた局所脳虚血再灌流モデルやマイクロコイルを用いて両側頚動脈を狭窄させる慢性脳虚血モデルで明らかにし、報告しています。
Neurol Med Chir (Tokyo) 53: 365-374, 2013

外傷性脳損傷と認知症の発症・進行については相関関係があることが広く知られるようになっております。我々は、ラットを用いて重量落下法による頭部外傷モデルラットを用いて、海馬におけるアミロイドβタンパク(amyloid β protein)の沈着に着目し、これらの因果関係について検討した。
遺伝的な背景の有無にかかわらず、外傷性脳損傷やが急性認知機能障害の危険因子となりうることが示唆されました。
Neurosci Lett 2016 Aug 26; 629: 62-67.
Behav Neurol 2019 Mar 3; 2019: 3248519

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