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脳血管内治療

脳血管内治療とは

従来の脳血管障害の治療は、頭を部分的に開けて(=開頭して)異常な血管の部分を「血管の外側」から治療するという方法でした。ただ、脳深部の血管病変へ到達するには困難を伴い、血管病変であるため場合により大出血に見舞われるといった難点がありました。20世紀後半に海外で産声を上げた脳血管内治療は、その名のとおり「血管の内側」から病気を治すいう、これまでは違った新たなコンセプトでスタートしました。つまり、カテーテルという管を血管のなかへ挿入し、これを病変部まで到達させ治療するというものです。開頭術のように頭を開く必要がなく、腕や足の付け根の血管の少し太めの穿刺痕だけで治療可能ということで、身体への負担も軽減されました。

1991年には動脈瘤に中に電気式離脱型コイルを留置することで動脈瘤の破裂予防を行う治療方法が開発されたことにより、脳疾患における脳血管内治療の有用性が認識されるようになりました。日本においては1992年に「脳血管内手術」として保険収載(健康保険対象)されたことにより広く普及するに至りました。その後、カテーテルやこれを先導するガイドワイヤー、そのほかコイルやステント(金属の筒)などの治療機器の発達により、脳血管内治療の適応疾患は徐々に拡大してきています。

開頭術と比べると歴史の浅い治療方法であることから、その長期成績については不明な部分や開頭術に劣る部分もありました。しかし、最先端技術を詰め込んだ機器開発や臨床医・研究医の地道な治療技術の開発のおかげで、治療成績は確実に改善され、現在ではむしろ血管内治療の方が良好な成績を収めている疾患もあります。

ここに至って重要となるのは、開頭術と脳血管内治療のどちらが優れているかということではなく、それぞれの治療のメリット・デメリットを十分に考慮した上で、個々の症例に対して「より適切な」治療方法を選択していくことです。2021年現在、当施設には日本脳神経血管内治療学会指導医2名、専門医5名が在籍しており、カンファレンスでの十分な議論を通して治療方法を提案させていただいております。もちろん、患者様自身・御家族様のご希望も十分に尊重し取り入れたうえで、治療方針を最終決定しております。

現在、脳血管内治療が行える疾患として、以下のようなものがあります。

● 脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤、くも膜下出血):脳動脈瘤コイル塞栓術

● 頚部頚動脈狭窄症:ステント留置術

● 頭蓋内動脈狭窄症:血管形成術

● 脳梗塞(急性期):機械的血栓回収術

● 椎骨動脈狭窄症、鎖骨下動脈狭窄症:血管形成術、ステント留置術

● 脳動静脈奇形:血管塞栓術

● 硬膜動静脈奇形:血管塞栓術

● 一部の脳腫瘍:栄養血管塞栓術

ここでは、最新の脳血管内治療および[脳血管障害]のページでご紹介できなかった病気やより詳しい治療方法についてご紹介させいただきます。なお、当施設では、以下のような最新器材や塞栓物質が使用可能です。

血管内治療特色.jpg

動脈瘤:フローダイバーター

脳動脈瘤の治療方法は日々進歩しています。これまで、脳動脈瘤に対する脳血管内治療は、瘤内にプラチナ製のコイルを充填して破裂しないようにする方法をとっていましたが、2015年にフローダイバーターのひとつであるPipelineTM (Medtronic社)が日本で使用できるようになったことで、新たな時代の幕開けとなりました。フローダイバーターとは、文字のごとく、「血流を転換」させるステントであり、これを母血管内へ動脈瘤の入り口を覆うように留置することにより、瘤内へ血液流入を防ぎ(フローダイバージョン効果)、瘤内血栓化が期待され動脈瘤の消失(瘤の破裂予防)につながります。2020年にはFREDTM (MicroVention/Terumo)も使用できるようになり、当院での症例により使い分けて治療を行っております。

フローダイバーター.JPG

脳梗塞(超急性期):経皮的血栓回収術

脳梗塞は血管が詰まり、その先の脳組織が壊死してしまい様々な症状を呈する病気ですが、詰まってから梗塞が完成するまでには少し時間があります。そのため、「完全に壊死した部分」のまわりには「血流不足だがまだ壊死していない、ただこのまま血流が途絶えたままだと死んでしまう部分」が存在し、これをペナンブラと呼びます。脳梗塞発症後はこの脳梗塞に直面している部分を救出し、少しでも後遺症の程度を軽減させることが重要となります。

脳梗塞超急性期、発症4.5時間以内(あるいはCT・MRI検査で発症4.5時間以内であることが推定される場合)であればtPA静注療法の適応になる可能性があります。tPAとは詰まった血栓を溶かすことで血流を再開通させる薬剤です。ただし、tPA治療が無効な場合、適応禁忌の場合も多くみられます。その場合、最大発症24時間以内であれば脳血管内治療で血流を再開通させ、ペナンブラを救える可能性があります。カテーテル機器の進歩や様々な研究の成果で、急性主幹動脈閉塞症に対する血管内治療の有効性は確立しました。香川大学脳神経外科および救命救急センターでは、患者様の後遺症を少しでも軽減させるため、また救命のために、適応のある症例には積極的に急性期血栓回収療法(ステント型血栓回収機器、吸引カテーテル)を行い、良好な再開通を得ております。

脳血管内治療が適応となるそのほかの疾患

椎骨動脈狭窄症、鎖骨下動脈狭窄症

椎骨動脈も、頚動脈と同様、脳を栄養する血管です。よって、この血管が狭窄すると、脳梗塞を起こすことがあります。鎖骨下動脈は、上肢(手)に血液を送る血管です。よって、この血管が狭窄または閉塞すると、上肢に行く血流が低下し、上肢に冷感、だるさなどの症状がでることがあります。どちらの血管も頚動脈のように、直接動脈を切開して治療すること(直達術)は困難なため、血管内治療により治療されることが多いのが現状です。

脳動静脈奇形:Onyx使用

椎骨動脈も、頚動脈と同様、脳を栄養する血管です。よって、この血管が狭窄すると、脳梗塞を起こすことがあります。鎖骨下動脈は、上肢(手)に血液を送る血管です。よって、この血管が狭窄または閉塞すると、上肢に行く血流が低下し、上肢に冷感、だるさなどの症状がでることがあります。どちらの血管も頚動脈のように、直接動脈を切開して治療すること(直達術)は困難なため、血管内治療により治療されることが多いのが現状です。

Onyxを用いた動静脈奇形塞栓術.JPG

一部の腫瘍

髄膜腫など一部の脳腫瘍に対し、開頭術を行う前に血管内治療を行い、腫瘍へ向かう栄養血管を閉塞させることがあります。これにより開頭摘出術中の術中出血を少量にし、手術をより安全に行えるようにできるメリットがあります。

髄膜腫塞栓術.gif
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