教授挨拶
香川大学医学部 脳神経外科学
教授 三宅 啓介
2021年4月1日より、香川大学医学部脳神経外科講座の教授職を拝命いたしました。
私たち、脳神経外科は、医学生をはじめ、初期研修医、専攻医、若手スタッフに対して充実した教育・研究・臨床を行っています。
教育については、医師として、脳神経外科医として専門性の高い知識と堅実な医療技術の習得に加え、現在の国際化・情報化社会に対応でき、人としての優れた倫理観を持つ優秀な若い脳神経外科医を一人でも多く育成し、脳神経外科の益々の発展に貢献します。
研究については、脳腫瘍の薬剤耐性遺伝子の研究、膠芽腫における(プロ)レニンレセプターの発現、膠芽腫に対する希少糖の効果、PETによる脳腫瘍や脳血管障害に対する最新診断および治療効果判定、脳血管障害や頭部外傷における脳浮腫の研究など、基礎医学講座の先生方と協力し発展させていきます。
臨床ですが、①救命救急医療、②脳卒中・脳血管障害、そして③脳腫瘍・小児神経・脊椎脊髄外科・機能的脳神経外科に対する医療、これら3本を柱として診療を行っています。
救命救急医療については、頭部外傷、脳卒中、てんかんに対して治療を行っています。また、脳死判定が必要な場合には、臓器組織提供・移植医療に貢献できるよう速やかに対応しています。
脳血管障害においては、当科は全国でも有数の脳血管内手術施行施設であり、頭蓋内動脈瘤に対してフローダイバーターステント治療を四国4大学の先陣を切って行っています。脳血管内治療は新しい治療機器が開発され、順次導入を予定していますが、3D画像をはじめ、3Dプリンターを用いた個々の患者様の動脈瘤血管モデルを作成し、治療前のシミュレーションをもとに実際の治療を行う脳血管障害に対するいわゆるテーラーメイド治療も進めます。
脳腫瘍に対しては先進医療として「抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査」を行っていますが、令和元年10月より香川大学はがんゲノム医療拠点病院となり、がん遺伝子パネル検査も可能となりました。これらを合わせたテーラーメイド治療を個々の脳腫瘍の患者様に行っていきます。高齢化社会に伴い全身状態が低下した脳腫瘍の患者様が増加しています。我々は、全身状態が低下した言語領域の腫瘍の患者様に対して、neoadjuvant治療により全身状態を改善し、覚醒下言語マッピングを行うことで言語機能を温存しながら腫瘍摘出を行う新しい治療を試みています。
香川大学医学部脳神経外科は、香川県のみならず、世界でも活躍できる人材を育成します。
我々といっしょに香川大学医学部脳神経外科を発展させましょう。