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メッセージ

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教授 三宅 啓介

香川大学医学部 脳神経外科
教授 三宅 啓介

脳神経外科を志す、医学生・研修医の皆さんへ

~世界に目を向けて~

2020東京オリンピックパラリンピック開催をきっかけに“日本ももっと国際化やグローバルに通用する国際人を育て、そしてコロナが終息すれば、世界に目を向けてもっと羽ばたこう”と叫ばれていますが、何をもって国際人なのでしょうか?このように問いかけていること自体が私も含めて国際人ではないのかもしれません。英語が話せるとか話せないとか、そういう問題ではありません。“日本は独自の文明でひとつの国を形成する世界で唯一の国です。そして、日本文化は島国で可決し、その内部だけで成立している”と評価している外国の方もいらっしゃるように日本の伝統文化にはたくさん良い点があり、他国が真似をしようとしてもできない点があります。また、日本の伝統文化に他国を取り入れることも難しいです。このような日本という中で日々生活していると、“日本の常識は、世界の常識”と思いがちです。しかし、日本で多くの人に共有されている常識は世界の常識とは違うことが多々あります。国際人として活躍するためには、これまでの“日本の常識”に固執せず、まず、自分を認識し、国を認識し、相手を認識、つまり「人間が100人いれば100人違う」というように相手との違いを認識した「理解する力」を持つことが大切だと思います。

そして、若い先生方には国際人として、日本人としてもっと世界へ目を向け、生活や仕事の手段として海外に出て活躍してもらいたい。海外に出て初めて気が付くこともあり、そのため、様々な多くの点で失敗すると思います。取り返しのつかない失敗、つまらない失敗はダメですが、とことん考えて将来につながる挑戦的な失敗なら、どんどんしてほしい。新しいアイデアを思いつき、それを実行し、失敗すれば、必ずいくつか学ぶことがあります。何もしなければヒントも見つかりません。失敗して、そのたびに「こっちの方法じゃないんだ」と気づいて、やり直すことで核心に近づいていくと思います。また、何か新しいことはないのか、どうしたらうまくいくのかなど大いに悩むことも大切です。悩んで悩んで悩みまくって、ある時、ふっと離れたときに解決策や新しいアイデアが、ぱっと瞬間に浮かびあがることがあります。私は、F1という車のレースの世界が好きですが、数々のチャンピオンマシンを生み出したエイドリアン・ニューウェイ(現在はレッドブルホンダのチーフテクニカルオフィサー)というイングランド出身の天才デザイナーがいます。彼は勉強家で、努力家で、敵の力を見きわめようとする鋭い感性を持っていて、他チーム(強いチームだけでなく弱いチームも含めて)のクルマをじっくり観察し、他人が何を考えて作ったのか、それを考えることで何かひらめく新しい発想が生まれると言っています。考えることは自由であり、そこに何か新しいアイデアが隠されている。弱いチームだからといってバカにしないで、そこには思いもしなかった発想で車を作っているかもしれない。そのような自分たちに気が付かなかったアイデアを見つけ出し、ある一定の考えに固執しないで新しいアイデアを自分のものにしていく。このような姿勢に私は共感し、たびたびぶつかる壁に対して悩み、さまざまな分野を勉強し、何か解決できないか考えています。

最後に若い先生に伝えたいことは、同年代の日本人の先生や外国人の先生など、他人と比較して自分は勝っているとか、負けているとか競うのではなく、戦う相手は患者さんの病気であること、そのために何が必要であるのか?常に考えることが大切です。そのためには、ひとりででも病気を解決するために必要な未知の世界へ飛び込む勇気、勢に流されない独立心を持って精一杯、病気を克服するために努力する力、絶対に“病気を克服してやる”という強い意志、これらを自ら備えることが大切だと思います。そして、自分に対して規律を持ち、気持ちが途切れないように続ける力、何事にも目標を持ち、誠実で努力を惜しまず自分を磨く力、集中して忍耐強く努力する力、相手を尊敬し、嘘をつかない、愚痴を言わない、後悔しない、失敗しても、馬鹿にされてもやり続ける力、これら全て備えることができれば最高ですが、どれか1つでも持つことができれば、次のステップに進むことができると思います。私は、失敗しても、馬鹿にされてもやり続ける力を大切にしています。

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E-mail:neuron-m@kagawa-u.ac.jp
担当:医局長

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