こどもは10年フォローが可能
小児専門病棟への入院と管理
香川大学病院形成外科においては漏斗胸以外にも手足・耳・頭の形の修正や、生まれつきのアザの治療も多く行っている関係上、患者さんのほぼ半数が小児です。したがって小児に対する診療のノウハウも、小児のみを対象とする診療科と同じく豊富にもっております。かつ、お子様の患者の場合は小児専門病棟に入院いただいたうえで、小児科と緊密な連絡をとりつつ治療にあたっています。したがってこどもの患者さんは安心して入院・治療をお受けになることができます。
小学生以下の患者さんは、原則として小児病棟への入院となります。
小児病棟の雰囲気です
プレイルームの様子
長期にわたるフォローアップが可能
漏斗胸に対する手術は、肋軟骨が柔らかい小児期に行うのと簡単なので、小学生または中学前期に、初回の手術治療が行われることが多いです。もちろん、初回の手術で良好な結果が得られる場合には問題はありません。
しかし小児期にいったん胸郭の形が改善したとしても、中学・高校期に身長が伸びるうちに、再び変形が生じてくる場合もあります。
すなわち、漏斗胸は小児期において治療が行われることの多い疾患ではありますが、小児期における手術だけですべての問題が解決せず、大人になった後も、さらなる改善を求めて、何らかの治療を希望される患者さんが多数おいでになります。
たとえば小児期に一旦は胸の凹みが治ったとしても、思春期を迎えて、男性ならば「もう少し胸を逞しい感じにしたい」という更なる望みが湧いてくることがあります。
また女性の漏斗胸患者さんの場合には、「あばら」の変形のみではなく、思春期から成人期にかけて乳房にも左右非対称が生じてくることが多いので、乳房の形を整える手術が必要となることがしばしばあります。
このように、小児における漏斗胸の治療は、1回の手術のみで完結するものではありません。
成人に至るまでの、長期のフォローアップが必要とされるという側面を持っています。したがって、10年先も診察してくれる医師を選ぶことが大切です(かしこく治療を受ける必修知識 » 漏斗胸の病院選びで知っておきたいこと)。この点、香川大学の漏斗胸チームリーダーである永竿は定年までに15年ほどあり(65歳定年の場合)、かつ後進の指導も行っています。ゆえに10年先の結果まで責任をもって対応することができます。
成人期に至ってからさらに胸のかたちの改善を望まれる場合には、筋肉や脂肪の移植や、乳房の美容など、特殊な技術が必要とされます。香川大学形成外科においては漏斗胸に対する手術以外に、顔面や頸部のがんの切除による身体の変形を修正したり、乳がんの術後に生じる乳房のかたちを整えたりする治療も行っておりますので、あらゆる側面からの長期のフォローアップを行うことが可能です。また、香川だけではなく東京および大阪でもフォローアップを行いますので、就学の関係で転居などをされてもアフターケアは十分可能です。