2026年04月27日  その他

香川大学医学部の2研究課題がPSI・GAPファンド・ステップ2に採択されました!

~革新的医療シーズの社会実装に向けた研究開発を加速~

このたび、香川大学医学部の研究グループによる2つの研究課題が、2025年度PSI(Peace & Science Innovation Ecosystem)GAPファンド・ステップ2に採択されました。本制度は、大学発の優れた研究シーズを実用化・事業化へと橋渡しすることを目的とした資金であり、採択は研究の独創性および社会実装の可能性が高く評価されたことを示すものです。今回採択された研究は、「次世代治療ワクチンの開発」および「抗体医薬の生産技術革新」という、いずれも医療分野における重要課題に挑むものであり、今後の臨床応用および産業展開が強く期待されます。


【採択研究①:Wnt阻害ワクチンの開発】
香川大学医学部 薬理学 西山 成 教授
家族性大腸腺腫症は、Wntシグナルの異常活性化により大腸ポリープを多発し、ほぼ100%の確率で大腸がんへ進展する遺伝性疾患であります。現時点では根治的な薬物治療が存在せず、大腸全摘が標準治療とされており、患者のQOLは著しく低下するという大きな課題があります。本研究では、ATP6ap2を標的とした世界初のWnt阻害ワクチンの開発を目指しています。本ワクチンは、モデル動物においてポリープ増殖の抑制効果が実証されており、副作用が少ない新しい治療法として期待されています。さらに、本技術は家族性大腸腺腫症にとどまらず、Wntシグナルの異常が関与する難治性がんへの応用の可能性も有しており、がん治療における新たなパラダイムの創出が期待されます。
本事業では、製造プロセスおよび品質試験法の確立、非臨床試験の実施を通じ、臨床試験開始に向けた体制構築を進めます。また、本研究を基盤としたスタートアップ設立を目指し、製薬企業へのライセンスアウトやM&Aを視野に入れた事業化戦略を推進します。

【採択研究②:抗体医薬の迅速・高効率生産法の事業化】
香川大学医学部 神経機能形態学 鈴木 辰吾 准教授
抗体医薬は、これまで治療が困難であった疾患に対して高い治療効果を示す一方で、その製造には高コストかつ長期間を要するという課題があり、製薬企業においては生産効率の向上が強く求められています。
本研究では、独自に開発した新型人工転写因子「DmTF」を活用することにより、従来法と比較して抗体の生産量を大幅に向上させるとともに、生産期間の短縮を可能とする革新的な技術を確立しました。本技術により、抗体医薬の迅速かつ高効率な生産が実現されることが期待されます。
本事業では、この技術を基盤として、生産用遺伝子セットの提供や導入支援、コンサルティング、ライセンシングなどを通じた事業化を推進します。まずは研究試薬用途の受託生産市場への展開を図り、その後、国内外の抗体医薬品生産市場への展開を目指すことで、事業規模の拡大を図ります。さらに、安定発現系を用いた技術開発を進めることで、将来的なグローバル展開およびスタートアップ創出、さらにはM&Aによる事業成長も視野に入れた戦略的な展開を計画しています。

両研究課題の採択により、香川大学医学部が有する先端的な研究成果の社会実装が大きく前進します。これらの研究は、医療の質の向上のみならず、バイオ医薬産業の発展および国際競争力の強化にも貢献することが期待されます。本事業を通じ、基礎研究から臨床応用、さらには事業化への橋渡しを加速させるとともに、スタートアップ創出や産学連携を推進し、革新的医療技術の社会実装が大きく期待されます。今後も香川大学医学部は、世界に先駆けた研究成果の創出と社会還元を通じ、持続可能な医療の発展に貢献してまいります。


(参考)2025年度 PSI・GAPファンドステップ2 採択チーム一覧のHP
https://psi-ecosystem.net/2025-2GAP1-1