看護とは何かを探求し、
より良い看護実践を実現できる人材育成の礎を堅固に
基礎看護学講座では、看護学概論(看護をめぐる主要概念・諸理論・法制度・考え方・現状と課題など)、看護過程、看護理論、基礎看護技術というように、看護とは何かについて、諸学者を対象に、看護の礎となる知識・技術・態度を学びます。これにより、より良い看護実践を実現できる人材育成の礎を堅固に仕上げ、将来的な看護専門職の育成を目指し、専門的な看護の学習に備えます。
しかし、近年の看護実践の場は、医療技術の進歩や看護の対象となる人の多様化・重症化など、大きく変化しており、看護職者には、これまで以上に高度な臨床推論・判断力(思考)や、実践力(行動)が求められる一方で、新人をはじめとした若手看護師の育成上の課題や、既存の看護実践上の課題など、解決すべき継続的な課題が蓄積しています。
そこで、研究としては、看護実践の場(臨床や地域での医療)はもとより、看護教育(人材育成・職業教育)の場が、今以上に良い変化をもたらす糸口を探求します。得に、看護教育(人材育成・職業教育)をめぐる研究は、看護実践能力の育成につながるもので、自ずと、看護実践の場(臨床や地域での医療)を良い方向に導く知見をもたらします。同様に、看護の対象となる人を対象とした研究では、超急性期・急性期・回復期・維持期(生活期)の各病期に応じて、難しい健康課題を有する患者・家族を中心とした質の高い看護を良い方向に導く知見をもたらし、看護教育(人材育成・職業教育)への示唆(教育・指導における着眼・改善・強化すべき最適解)が得られます。
その上で、言葉の緻密な分析から、独創的な知見を抽出し、定量的な検証に至るプロセスは、研究者に不可欠な言語化力や考察力を育み、教育力、ひいては看護実践能力の向上にもつながるものです。そうした観点から、学生の皆さんの研究課題を通して、共に探求できることを期待しています。
以上を踏まえて、より良い看護の実現を目指して、教育、実践、研究が上手く嚙み合うように、看護の礎となる基礎看護学講座(修士課程)では、自身の臨床や教育現場での問いを、研究手法を用いて調査し、学術論文として整理・可視化し、その成果を学会で報告することを目指して取り組みます。
また、看護の礎となる基礎看護学講座(博士課程)では、修士課程の研究課題など、自身の研究課題をさらに発展させ、仮説検証、評価ツールの開発、教育プログラムの開発など、実証的な研究に取り組み、その成果を学術論文として、国内外のジャーナルへの投稿を目指して取り組みます。
今井多樹子(教授)
看護実践をめぐる人材育成に資するために、基礎教育および卒後の継続教育に関する現状調査・概念化、評価ツール・教育プログラムの開発を行っています。
・看護実践能力向上に資する人材育成に関する研究
・基礎看護教育に求められる教育内容と評価
・新人看護師が複数患者を受け持つ体制下で求められる多重課題対応力の育成に関する研究
・地域の視点で幅広い看護の対象理解を育む新しい基礎看護学実習に関する研究
山本麻理奈(准教授)
在宅療養を続ける人々とその家族が地域で安心して生活を送り、困難の中でも穏やかに暮らせるよう、心身の安定や生活の質を支える包括的な支援のあり方を探究しています。
・医療的ケア児と家族の生活とケアの実態に関する研究
・療養児者の家族介護者が持つレジリエンスについての研究
・在宅療養中のALS患者及び家族介護者が前向きな姿勢や肯定的感情を抱く出来事の特徴
武智尚子(学内講師)
医療の高度化・多様化する周術期医療に求められる手術室看護師の人材育成や看護実践モデルの検討を行っています.また,AI・ロボット技術を活用した高齢者支援システムの開発にも携わっています.
・手術室看護師の職業キャリア成熟度評価指標の開発
・現在の周術期医療に適応できる手術室看護師の役割のモデル構築
・認知機能維持・健康生活を支援するReminiscence(回想)AIヘルスロボットシステムの構築
・病院・介護職員のコミュニケーションロボット継続活用のためのマッチングシステム開発
藤原育子(助教)
集中治療領域(クリティカルケア)を基盤とする看護実践をフィールドに、患者急変時の臨床判断に焦点をあて、看護実践能力の育成と新人看護師への教育的支援の在り方を探究しています。
・患者急変時の看護実践能力の育成に関する研究
・ICU看護における重症患者の急変予兆をめぐる臨床判断に関する研究
・患者急変の前兆を早期に認識し対応するための臨床看護に必要なコンピテンシー:ハイパフォーマーを対象とした面接調査から
・ICU看護における重症患者の急変予兆をめぐる臨床判断の構造化: 熟練看護師の「気づき」を軸とした面接調査から
・患者の急変予兆における臨床看護師による臨床判断をめぐる気づきの様相:一般病棟での看護実践を通して